2026.03.20
ブログのネタを考える際「ブログ担当者の好きな本を紹介したら面白いんじゃないか」と言われ、それなら絶対に初回は伊坂幸太郎先生の作品にしよう! と密かに決めていました。というのも、私は勝手に伊坂先生のことをエンタメ小説界の帝王と呼んで私淑しているからです(笑)。
実は最初に触れた伊坂作品は小説ではなく漫画なのですが(『魔王 JUVENILE REMIX』(原作・伊坂幸太郎/漫画・大須賀めぐみ)というシリーズ)、「なんだこれは!!」と当時ものすごい衝撃を受け、原作『魔王』やその流れを汲んだ『殺し屋シリーズ』を読み始め、ものの見事にハマりました(笑)。私がそれらの作品を読んだのはもう15年以上前なのですが、伊坂先生は未だに第一線で活躍していらっしゃるので、衰えの兆しがない創作力には本当に尊敬しかありません。
さて、今回ご紹介させていただく『ゴールデンスランバー』はすでに出版されて20年近くも経っており、本屋大賞、山本周五郎賞を受賞、「このミステリーがすごい!」でも1位を取って映画化もされている超名作なので今さら紹介する必要もないかもしれませんが、〝創作〟という観点からこの物語のすごさをほんの少しだけお話させていただければと思います。ちなみに【ネタバレあり】なので、未読の方はご注意ください!
簡潔にあらすじを説明すると、「首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公が逃亡する話」で、作中では主人公の2日間の逃亡劇が描かれています。この小説はミステリに分類されますが、ミステリにおける禁忌、「事件の真相がわからないまま終わる」を堂々とやってのけています。つまりこの話、「誰が首相を暗殺し、主人公に罪を着せたのか」が最後まで読んでもわからないんです。
殺人が起こったのに犯人がわからないまま終わる話といえば『藪の中』(芥川龍之介)が有名ですが、これを現代のエンタメ小説で踏襲し、しかもめちゃくちゃ面白いというのが、作者の並外れた手腕を証明する1作と言えるでしょう。だって普通、ミステリって犯人は誰だろうと推理するのが面白いのに、全く別のベクトルでの面白さを読者に提供してくれるので、犯人がわからなくても満足しちゃうんですよね(ちなみに「別ベクトルの面白さ」については、既読の方なら理解してもらえると思います。わりとネタバレしちゃいましたが、未読の方はぜひ読んで確かめてみてください!)。
ただし、これをアマチュアが真似しようとすれば大惨事になるのは必至。広げた風呂敷は、きちんと畳まなければいけません。『ゴールデンスランバー』は、「とても面白いが生半可な気持ちで真似してはいけない作品」の代表格です。
〈エノログ〉を読んでくださっている皆さんは、ミステリを書く時は絶対に犯人を明らかにしてくださいね!!
今回ご紹介した作品 → 『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎)
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