長編講評
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11月を迎え、澄んだ空気とともに秋の深まりを感じる季節となりました。秋の夜長、ちょっとだけ夜更かしして本を開いてみませんか?
ページをめくる心地よい音とともに物語の世界へ没頭するひとときは、私たちにとって特別な時間です。古今東西の名作に触れ、ご自身の物語をさらなる高みへはばたかせる糧としましょう。
今号も、皆さまの執筆のヒントとなる情報をお届けします。執筆の合間の息抜きに、ぜひお楽しみください。
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講座の詳細を見る先月開催した【榎本メソッド体験ワークショップ】のテーマは【禁忌】でした。
アダムとイブが禁断の果実を食べて楽園を追放される『創世記』をはじめ、世界中に「禁忌」を描いた物語はたくさんあります。普段はあまり意識することもないかもしれませんが、私たちも「法律」などのルールに囲まれて暮らしていて、破れば罰を受けます。
禁忌は存在するだけでなく、主人公がそれを「破る」ことで物語が大きく動き出します。展開に迷った時は、物語の序盤で禁忌を設定し、あえてそれを破らせてみましょう。
そして禁忌と設定するからには、破った際に相応の「重いペナルティ」が生じなければなりません。あなたの物語の主人公は、一体どんなペナルティを背負うことになるでしょうか?
学園ものは中高生だけでなく、大人読者にも深く刺さる人気ジャンルです。
「こんな学校で青春を送ってみたかった」「こんな先生に出会いたかった」
そんな理想や憧れが、魅力的な物語をつくるための原動力となるはずです。あなたの思いを形にしてみませんか?
【学園もの】のあらすじを書いて講評がもらえるワークショップの日時は下記のとおりです。
11月21日(土)15時~17時
他にもたくさんのジャンルをご用意しているので、ぜひチェックしてみてください!
2025年9月に発売し、大好評だった『空想世界をつくる理科の教科書』の姉妹本が登場!
歴史、地理、国家と政治といった、創作のうえで役立つ項目を取り上げ、「社会の授業が苦手だった……」という人にもわかりやすいよう、やさしく解説しています。
最初から最後まで通して熟読するも良し、興味のあるところやいま書いている作品で役立ちそうな部分だけ読むのも良し。使い方はあなた次第。
ぜひ本書を使って、あなただけの魅力的な世界設定を作ってみてください。
【榎本秋プロデュース ストーリー発想力がぐんぐん身につく創作ゼミ】は、毎月提示される榎本秋と榎本事務所厳選のテーマに沿った400字あらすじを提出し、個別講評で発想力を徹底的に磨ける講座です。
創作ゼミがどのようなものかをより詳しく知っていただきたく、実際の課題と講評さながらのお題を榎本事務所スタッフAが挑戦!
ぜひ創作ゼミを疑似体験してみてください。
榎本事務所に勤めて数年のスタッフ。
文章・創作に関わる業務には携わっておらず、小説執筆は未経験。
本を読むのは大好き!
過去のエノマガでも創作ゼミの課題に挑戦している。
「三題噺」は元々落語における即興芸として行われていたもので、客から3つのお題をもらって物語を作ります。
その際、「場所」「人物」「もの(こと)」の3つの枠を決めます。そうすることで、それぞれの要素の関係性が自然に考えられるようになります(どうしてその人はそこにいるのか? など)。
適当に3つのキーワードを集めると上手く作れないことが多くなります。
今回はこちらからパターンを提示しますので、最大400字のプロットを1つ作ってみましょう。
「紅葉の山/サラリーマン/望遠鏡」を使って400文字程度のプロットを作ってみましょう。
光学メーカー勤務のサラリーマン・司は、赤字の山頂展望台から望遠鏡を撤去する担当になる。紅葉狩りの客はスマートフォンで撮影するばかりで、望遠鏡を使うのは1人の老人だけだった。老人が見るのは対岸の山の中腹にある廃業した旅館。元料理長だった彼は厨房で働き続け、客室から見える紅葉を楽しんだことがなかったという。
旅館は翌週に取り壊される。老人は最後に元従業員たちと旅館を眺める約束をしていた。司は撤去を延期しようとするが、望遠鏡はすでに買い手が決まっていた。
替わりに写真を渡す提案をするも、老人は断る。「自分で覗いて、目に焼き付けたい」。司は倉庫の旧型機を整備し、1日だけ貸し出す許可を取る。
当日、司も初めて一緒に覗いた。集まった元従業員たちは、覗く度に昔話を始める。売却する望遠鏡を梱包した司は、会社に新たな望遠鏡貸出企画を提出する。最初に予約した孫たちは、今度は祖父母と星を見たいと言った。
心温まるストーリーとして展開しつつ、少しの切なさが良いアクセントになっています。冒頭に「最近の客は望遠鏡を使わない」という状況が提示されているため、望遠鏡貸出企画がビジネスになりえるかが疑問です。オチでドラマを作るより、貸出許可を得た1日にドラマを作った方が盛り上がるのではないでしょうか。
いかがでしたか?
ご興味を持たれた方、自分も挑戦してみたいと思われた方、ぜひ【榎本秋プロデュース ストーリー発想力がぐんぐん身につく創作ゼミ】を受講ください!
【榎本メソッド小説講座-Online-スタッフブログ〈エノログ〉】では後日スタッフAが今回の講評の感想をアップします。
よろしければチェックしてみてください!
「受講すれば本当に実力がアップするの?」
「改善点を指摘されても、どう直せばいいかわからない……」
そんな悩める小説家志望者の方に向け、榎本メソッド小説講座の講評で作品がどう変化するのか、わかりやすくBefore&Afterをご用意しました!
実際に講評前と講評後で作品がどう変化するのか、ぜひ比較してみてください。
(※例題は一部抜粋となります)
「学校からの帰り道、二人の学生が歩きながら話す」というシチュエーションで、800文字程度の文章を書きましょう
夕方の帰り道、橙色の夕日を浴びながら、僕と瑛太は線路沿いの道をゆっくり歩いていた。
「なあ、今日の数学のテスト、どうだった?」
僕が聞くと、瑛太はため息をついてカバンを肩にかけ直した。
「全滅だよ。最後の問題なんて、公式すら思い出せなかったし」
「そこまでかよ。でも、僕も自信ないな」
二人で顔を見合わせて苦笑いした。カンカンと踏切の音が鳴り始め、カンカンと音を響かせながら電車が目の前を通り過ぎていく。強い風が吹き抜けて、僕たちの制服の裾を揺らした。
「そういえば、帰ったら何するの?」
「うーん、ゲームかな。テストも終わったし、今日は思い切り遊びたい」
「いいな、僕も一緒にやっていい?」
「もちろん。じゃあ、家についたら連絡するよ」
夕闇が迫る街の中、僕たちは交差点で手を振り、それぞれの家へと歩き出した。
・「夕方の帰り道、橙色の夕日を浴びながら」という描写が若干くどい。夕日とあれば時間帯がわかるので「夕方」は削除して良い。
・「カンカンと~」という同じオノマトペの繰り返しがややくどいので、使用は踏切の描写だけに絞り、電車の通過は視覚や体感で表現してみてはどうか。
・文章としての大きな問題はないが、状況の説明と無難な会話だけで終わっているため、ひとつのシーン(読み物)として読者が面白いものになるような工夫がほしい。オチをつける、クスッと笑える要素を入れるなどが考えられる。
帰り道、夕日を浴びながら、僕と瑛太は線路沿いの道をゆっくり歩いていた。
「なあ、今日の数学のテスト、どうだった?」
僕が聞くと、瑛太はため息をついてカバンを肩にかけ直した。
「全滅だよ。最後の問題なんて、公式すら思い出せなかったし」
「そこまでかよ。でも、僕も自信ないな」
二人で顔を見合わせて苦笑いした。カンカンと踏切の警報機が鳴り始め、轟音を響かせながら通り過ぎる電車が起こした風が、僕たちの髪と制服の裾を揺らした。
橙色の光がまぶしくて目をすがめる。隣の瑛太も同じことを思ったのか、手で庇を作りながら唐突に言った。
「今の俺たち、最高に〝主人公〟だよな」
「はあ?」
「夕日の中でうなだれながら帰るって、挫折した主人公によくあるじゃん」
「ないだろ。だいたい、赤点と補習確定の主人公とかダサすぎ」
まあ、バカだけど運動神経は抜群だし、人気者の瑛太はたしかに主人公っぽいかもな。
そんな本音は胸にしまいつつ、「じゃあ、次は補習で」と交差点で手を振り、それぞれの家へと歩き出した。
・情報の重複や繰り返しになっている部分を整理した。
・後半の会話の内容を変え、掛け合いの面白さや二人の関係性が見えるようにした。
プロの視点を入れることで、作品は劇的に変化します!
あなたの作品も、榎本メソッドの講評でレベルアップさせませんか?
前回は落選した作品から課題を見つけ、新作に生かすというお話をしました。今回は、その新作を考えるときの話です。
新作だからといって、ジャンルも作風も全て変える必要はありません。
逆に、主人公の名前や舞台を変えただけで、前作の課題がクリアできるわけでもありません。
大事なのは前の作品でうまくできなかったことを次はどうするかです。
まず、今回の作品で特に取り組みたい課題を1つ選んでみてください。
「主人公に共感してもらいたい」「中盤で話が停滞しないようにしたい」などです。
これだけではまだ目標に過ぎません。実際に何を書くのか、もう一段具体的に考えましょう。
例えば「主人公に共感しにくい」のが課題であるなら、彼/彼女は何をしたい人なのか、それがなぜ大切なのかが、読者に伝わっていない可能性があります。
例えば「大会で優勝したい」としましょう。賞金が欲しいのか、離れ離れになる仲間と最後に結果を残したいのかで、書くべきことは変わります。
前者ならなぜ賞金が欲しいのでしょうか。現実では特に理由なくお金は欲しいものですが、共感してもらうために切実な理由をつけたいものです。
後者なら、仲間との関係がわかる場面が欲しいですね。
一緒に練習する、意見がぶつかる、それでも相手を見捨てられない。そうした出来事を通して、主人公にとって仲間がどんな存在なのかを見せるわけです。
設定に「仲間思い」と書くだけでは、本文を読む人には伝わりません。課題を意識するだけでなく、必要な場面を考えるところまで進めてください。
そこで役に立つのが、短いあらすじです。まずは400字程度で、結末までまとめてみましょう。
誰が何を望み、どんな問題にぶつかり、どう行動して、最後にどうなるのか。設定の説明だけでなく、物語の流れがわかるように書いてください。読み終えた読者に、どんな面白さや達成感を感じてほしいのかも考えましょう。
その上で、今回取り組む課題があらすじのどこに反映されているかを確認します。主人公の動機を伝えたいのに、その人がなぜその行動するのか書かれていなければ、まだ整理が足りません。
もちろん、400字に全てを詰め込む必要はありません。ここで確かめるのは物語の骨格です。その後、詳しいプロットを作り、必要な場面を組み立てていきます。
自分で判断がつかなければ、プロットの段階で講評を受ける方法もあります。長編を書き始める前に、面白さや話の流れが伝わっているかを確認できるからです。
もう1つ、忘れてほしくないのが、前作でうまく書けたところです。
会話の楽しさを褒められたなら、ぜひ次の作品でも生かしてください。構成を気にするあまり、会話が説明ばかりになってしまったらもったいないでしょう。弱点を直すことと、得意なところをなくすことは別です。
そして、準備だけを延々と続けないこと。
プロットで考えたことが長編にするとどうなるのか。それを確かめるためにも、最後まで書き上げてください。完成したら、最初に決めた課題を意識して読み返してみましょう。
できていれば、次の課題に取り組む。まだできていなければどこでうまくいかなかったかを考える。新作を書くたびに、この確認をしてほしいのです。
次の1作では何に取り組むのか。決めたら、まず短いあらすじを作ってみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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