小説のアイディアはいつひらめくかわかりません。小説のストーリーを考えようと思っている時にひらめく場合もあれば、ふとした瞬間に思いつく場合もあります。せっかく思いついたアイディアも使わなければ意味がありません。
今回はひらめいたアイディアを有効活用するメモのとり方をご紹介します。
※小説のアイディアを得る方法はこちらの記事をご覧ください
小説のネタ・アイディアは「身近なところ」から情報収集
※小説の書き方って何からはじめればいいの?という方は以下の記事をご覧ください
小説の書き方【初心者必見】はじめの一歩から完成まで
目次
アイディアが浮かんだら以下の点に注意してメモをとるようにしましょう。
ひらめきは鮮度が第一です。思いついた瞬間から徐々に脳内情報が劣化していくと思ってください。パッとひらめいた時にすぐメモすることを習慣にしましょう。メモをとる際は思いついたまま書きなぐる方法でOKです。
キレイに書こう、ネタをジャンル分けして書きとめよう、と変にこだわってしまうと三日坊主になりかねません。脳内に浮かんだアイディアを活きのいい状態のまま書きとめましょう。
また可能なら、ひらめいたアイディアから連想できるワードやシチュエーションなどを考え、発想も一緒に書きとめておくことをオススメします。アイディアの活用もまた鮮度が第一です。
メモに日付を入れておくと、アイディアを整理するときに役立ちます。
前述した「アイディアはすぐにメモする」という方法が取れない方は、日記風にアイディアやエピソードなどを書き貯めるのもオススメです。日記を書く行為は「毎日ものを書く」というモノ書きに必要な習慣を身につける訓練にもなります。イチオシは朝と夜の1日2回、日記を書くことです。
起きたらすぐに、さっきまで見ていた夢の内容を書きとめるのが「朝日記」です。夢は意味がわからないものを見ることが多いものの、普段の自分では思いつかないようなアイディアを含んでいます。夢から突拍子もないアイディアを得て、おもしろいストーリー展開が思いつくこともあるでしょう。
しかし人間の脳は、見た夢をあまり長い時間覚えてはいられません。そのため夢日記をつける際は枕元に筆記用具を用意し、起きたらすぐに書けるようスタンバイしておくことが大切です。
浮かんだアイディアや起こった出来事、人から聞いたエピソードなどを夜まで覚えておける方は就寝前の日記習慣を作りましょう。たとえば下記のように一日の出来事とアイディアをまとめて書くのがオススメです。
<4月10日>
・いつもより1本早い電車に乗れた。2度寝せずにすっきり起きられたからだ。
・松田がいつにも増してテンションが高かった。
・情報番組で古典の特集が面白かった。古典そのものはほとんど呪文みたいで何言っているのかさっぱりわからなかったけど。→「古典的仮名遣いが呪文」で現代ファンタジーはおもしろいかも。要調査!
・「師匠弟子」テーマはやっぱおもしろい。
×師匠と弟子の関係が逆転する→珍しくない
×師匠と弟子が第三の敵と戦う→これもよくある
△師匠が魔王で弟子が元勇者→ストーリーの発展方法がわからない
△師匠であり弟子→響きだけは面白そう
疑問に思ったところやわからない点は放置せず、インターネットや図書館などを使い解決するようにしましょう。休みの日や寝る前などに貯まった「?」をまとめて解決するにはこれらのツール、施設の利用がオススメです。わからないことを放置していてはせっかく浮かんだアイディアも活用できなくなってしまいます。
ひらめいたアイディアをまとめるツールは何が適切でしょうか? オススメは使い勝手がいいと思えるものを使用すること。そして何よりも重要なのが「飽きずに続けられるやり方を選ぶ」ことです。アイディアをメモするための代表的なツールをご紹介します。
大学ノートなど大きめサイズのノートは、机に向かい落ち着いて考えをまとめたい人向けのツール。広い紙面を使ってアイディアの構想ができます。アイディア同士を矢印で結ぶなど、思いついた内容をグラフィカル(図形のように)に書いてまとめるのに適しています。ただし、大きめのノートにすると持ち運びが不便になることも。パッと思いついたときにすぐ書くためには、ポケット手帳などの小さめの手帳がいいかもしれません。
仕事などでシステム手帳を常に携帯している方は、仕事で使うページとネタ集めに使うページを分けて使用するのもオススメです。道すがらで突然、大学ノートをカバンから出して書き始めると通りすがりの人に不審がられますが、システム手帳ならそのような心配は少ないでしょう。
常に携帯し、電車内などで弄っていても自然なものといえば、やはりスマートフォンでしょう。手書きよりスマホのフリック入力が速いという人も、大勢いらっしゃいます。入力したものはすべてデータ化されるので、パソコンとの共有や情報整理も手軽です。
タブレットも同様でネタの貯蔵庫として使用する場合は、持ち歩く習慣をつけておきましょう。
また小説を書くという点において外せないのがパソコンです。一昔前までは小説といえば原稿用紙に万年筆といったイメージが主流でした。現在は印刷所への入稿もデータで行うため、パソコンが小説家の必須アイテムとも呼べる存在に。ただ、思いついたときにサッと書けるかといえば難しいでしょう。ノートパソコンを持ち歩くのであれば、その不便さをカバーできるかもしれません。
浮かんだアイディアを口に出すことで発想の幅が広がるという人は、ICレコーダーやスマホのボイスメモ機能を使って声を録音するのもアリです。録音データをテキスト化してくれるアプリもあり、テープ起こしをする手間もそこまでかかりません。しかし、声を吹き込むという行為は周囲の目を気にする必要があります。とくにICレコーダーを使う場合は誤解を生む(この人、私たちの会話録音している? など)可能性もあるのでTPOをわきまえて使いましょう。
アイディアをためるには、アナログ(手書き)とデジタル(スマホ・パソコン)のどちらがいいのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
一番のメリットは「手で書くことによって脳が刺激される」という点です。脳が刺激されると発想力が高まり、ストーリー展開を考える手助けになります。また、矢印や図解などもサッと書けるので、アイディア同士を紐付けたり、関連づけたりしながら発想を広げることが簡単に行えるのも大きな利点です。
筆記用具を持ち運ばなければならないところがデメリットです。仕事や学校に通っている平日は携帯することに不便を感じることはありません。しかし友人と遊ぶ、買い物に行くといった場合には邪魔だと感じ、持ち運びがおっくうになってしまう可能性があります。
スマホやパソコンなどに打ち込んだアイディアはすべてデータ化されます。貯まったアイディアの整理がスムーズに行えることもメリットといえるでしょう。
デメリットは誤って消してしまうと復元するのがかなり困難な点です。スマホだけ、パソコンだけにデータを保存していた場合、そのデバイスが壊れてしまったときはお手上げになってしまうこともあります。そうならないために、スマホデータは定期的にパソコンと同期または共有しておく、パソコンのデータはクラウドサービスなどにアップしておくなどの対応が必要です。
オススメはフリーのメールアカウントを用意し、アイディアが浮かんだらメール送信する方法。アカウントが無事ならデータは消えません。件名に思いついたキーワードを入れ、本文にそのキーワードに対して思ったことを入力しておけば、アイディアをまとめる際に重宝します。
貯まったアイディアをメモ書きだけで放置していては宝の持ち腐れです。貯まったなと思ったら読み返し、まとめる時間を作りましょう。キーワードやちょっとしたネタだけで放置していたアイディアも、見返すことで思いつきの先にあるストーリー展開まで広げられるかもしれません。
アイディアをまとめる方法は以下のものがオススメです。
「恋愛・SF・ファンタジー・キャラクター……etc」とジャンル分けしたノートを用意し、貯まったアイディアをそれぞれのノートに書き写していく方法です。書き写す際のポイントはギッシリ書かず、余白を残すこと。スペースを空けておくと後からそのネタに関連する情報を書き込められるため、書き直す手間が省けるのです。
アイディアをデジタルデータでまとめる際には、エクセルなどの表計算ソフトは整理に適したツールです。ノートには書き込める量に限りがあるものの、パソコンには制限がないため、湧いてくるアイディアを余すことなく入力できます。ジャンル分けもタブやソートで簡単に行えます。さらに、単語検索で見たい情報をすぐに引き出せるところも、デジタルのメリットといえるでしょう。
アイディアを貯め込み、アイディアノートやネタ帳を作ることは大切です。しかし、ネタ集めに終始するのではなく、あくまで小説を書くための材料であることを忘れないようにしましょう。ネタ集めに没頭してしまうと、さまざまなジャンルが混同し「あれも書きたい」「これも書きたい」となって、1つも小説が完成しないといった事態が起きるかもしれません。
書きたいテーマが決まったら、日々の情報収集は随時行うとして、ネタの掘り下げ作業はその書きたいテーマに沿ったものだけを行うのがオススメです。
小説を書くためのきっかけとなるアイディア収集、自分にピッタリフィットする方法を見つけられれば、創作活動もスムーズに行えるようになるでしょう。
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監修|榎本 秋
1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。
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