榎本メソッド小説講座

プロットとは|プロットの書き方、構成の作り方を学ぼう

小説を書くときに、準備したいのが「プロット」です。プロットはいわば「小説の設計図」となるもの。物語を作るためのとても重要なプロセスです。

今回は、小説を書くまえに知っておきたいプロットの書き方・作り方・立て方をご紹介します。

小説のプロットとは?

プロットを作成している様子

プロットとは、物語について「どんな世界が舞台でどのようなキャラクターが登場し、どうはじまり終わるのか」を書いていくものです。

小説を執筆する際に、ストーリーの構成を作り手が把握できるようにプロットを作ります。

アイディアを整理し、執筆をスムーズに進めるための準備段階。簡単にいうと、あらすじのようなものです。

プロットとあらすじの違い

プロットは、執筆の道しるべになる「小説の設計図」です。主に作り手側が考えをまとめられるように作ります。一方あらすじは、読み手側に物語の大雑把な筋を伝えるために作るもの。

誰に向けて書くのか、という違いはありますが、当講座では「プロット」と「あらすじ」について、特に区別はしていません。

どちらも小説の大まかな筋道を書いたものです。

「プロット」は小説を書くときに絶対に必要?

プロットの書き方は小説家によって違います。物語のポイントを箇条書きにする人もいれば、細かなセリフまで盛り込んでストーリー展開を作りこむ人も。

小説を書くにあたって、プロットを作成せずいきなり書きはじめる小説家もいます。しかしそれが成立するのは、よほどの天才に限ってのことです。

ほとんどの小説家はプロットを作り、全体のバランスを整えてから執筆に入ります。

プロットを作るメリット

小説を書く前にプロットを作り、物語の構成を立てておくことにはさまざまなメリットがあります。詳しくみていきましょう。

ストーリー構成のバランスをチェックしやすい

物語のアイディアをプロットに書き込んでいくと、どの要素が薄いのか、どの要素が多すぎるのかが明確になります。長編を書く前に全体のバランスが取れていると、後から大幅な変更をする可能性も低くなるでしょう。

小説のコンセプトがブレない

物語に必要な要素を漏れなく書き込み、整理できていると、書いているうちにコンセプトがブレることが起こりにくくなります。

執筆のスピードが上がる

内容が詳しく決まっていると、本文を書きはじめるときに迷わず進められます。この「迷いがない」という部分は、執筆のスピードに関わるとても重要なポイント。

プロ小説家は次々と作品を出すため、効率化できるところはしておきたいのです。

他人に見てもらうのに向いている

ほとんどのプロ小説家は編集者にプロットを提出します。そしてその作品を書いても大丈夫か相談するのです。

プロを目指すなら、ゆくゆく必要になるものなので書き慣れておくといいでしょう。

新人賞に応募するときの「あらすじ」に役立つ

新人賞では、800文字程度のあらすじを書くことがレギュレーション(規則)の一環になっているケースがほとんどです。

編集者や選考者の目にとまりやすいあらすじを作るためにも、ストーリーの大まかな流れ、構成がまとまっていると良いでしょう。

これから新人賞に応募したり、プロ小説家としてやっていくことを考えるとしっかりしたプロットが作成できるよう練習をしておくのがオススメです。

プロットを作るデメリット

プロットを作ることで多くのメリットを享受できますが、気をつけなければデメリットになってしまうポイントもあります。

時間がかかる

プロット作りにはそれ相応の時間がかかります。しかし「設計図」を作っておくことで、スムーズな執筆ができます。またコンセプトやテーマのブレに後から気付いて、書き直すような無駄も少なくなり、むしろ効率的でしょう。

こだわりすぎると書きはじめられない

プロットにこだわりすぎるのは考えものです。それだけで満足してしまったり疲れてしまったりすると、作品を書き上げるモチベーションに悪影響を及ぼすことも。

プロットを書くときは「ほどほどに、そして簡潔にまとめる」ことを念頭に置いて書きはじめましょう。

プロットに入れておくべき要素

プロットに入れるべき要素

これから作る物語の設計図であるプロットには、以下の4つの要素が必要です。自分がどんな作品を作るのか、あらかじめ方向性を定めるため意識して書き込むようにしましょう。

テーマ

物語で一番大切なもの、伝えたいことは何か? これは物語作りでとても重要な部分です。

テーマはプロットを書き始める前から決めておく場合と、書いている最中に決める場合があります。必ず事前に考えなければならないわけではありませんが、意識はしておきましょう。

※テーマの作り方について詳しくはこちらの記事をご覧ください
小説の設定は「テーマ」から決めるべし! 読者に伝わる小説の書き方と決め方のポイント

キャラクター(どんな人物が)

生き生きとしたキャラクターは小説を魅力的にします。登場人物の目的や行動原理を定めてリアリティーのある人物像を作りましょう。

※キャラクターの作り方ついて詳しくはこちらの記事をご覧ください
小説のキャラクターどう作る? |キャラ作り3つの要素と質問集
キャラクター設定と作り方【主人公編】|プロ小説家が教えるコツとテクニック
キャラクター設定と作り方【ヒロイン編】|プロ小説家が教えるコツとテクニック
プロ小説家がコツを伝授! _キャラクター設定と作り方【ライバル・黒幕・敵編】
キャラクター設定と作り方【脇役キャラクター編】

世界観(どんな場所で)

その物語が展開していく重要な土台が、世界観の設定(世界設定)です。その物語の舞台がどのような場所、価値観に基づいた社会なのかなどを定めます。

※小説の世界観の作り方について詳しくはこちらの記事をご覧ください
世界観の設定と作り方|現代と異世界の違いとメリット・デメリット【プロ小説家監修】

ストーリー(何をしてどうなるのか)

物語における骨子の部分です。キャラクターがどう動いてどうなるのか、全体の流れを決めていきます。

またエピソードをバランス良く配置して物語を魅力的にするのが、「ストーリーの枠組み」です。起承転結や序破急など、枠組みをうまく活用して、全体的なバランスを整えます。

※起承転結、序破急などストーリーの枠組みについて詳しくはこちらの記事をご覧ください
起承転結と序破急のポイントと応用|知っておきたいストーリーの作り方【プロ小説家監修】

プロットの書き方・作り方の手順

プロット作りは頭のなかにある物語の要素を形にしていく作業です。そのための具体的な手順をご紹介しましょう。

手順1「アイディアをひたすら出す」

プロットのアイディアを書き出す紙

1つ目は、思いついたアイデアをどんどん書いていく方法です。キャラクター、世界設定、エピソード、セリフなど、思いついたアイデアを箇条書きで並べます。この段階ではまだはっきりとしたアイデアでなくともかまいません。

たとえば「アクションシーンはあった方がいいか」「恋愛要素を入れたほうがいいか」などのアイデアがあるとします。そこから派生するセリフやシーンなどは、矢印を使って関係性がわかるように書き込んでいきましょう。

一般的にプロットはパソコンのワードソフトを使ったりノートに書き込んだりするものですが、さらにオススメな方法を2つご紹介します。

カードに書いて並べ替える方法

アイデアをカードに記入するというやり方が便利です。バラバラのカードに書いておくと、後から順番を組み替えたり、関連性にもとづいて仕分けをしたりできます。なかなかアイデアが組み立てられず悩んでいるときには、とくに効果的な方法です。

表計算ソフトを使う方法

もう一つはExcelのような表計算ソフトを使う方法です。やり方はカードとほとんど同じ。1アイデアを1つのセルに書き込んでいきます。こちらも簡単に組み換えをできるのがポイントです。アイデアと一緒に日付や分類(キャラ、セリフ、設定など)を横のセルに書いて、並べ替え、整えていきましょう。

※小説のアイディアをまとめるときに使える「KJ法」について詳しくはこちらの記事をご覧ください
アイディアの発想方法はビジネスに学べ? 5つの発想法をご紹介!【プロ小説家が教える小説の書き方】

手順2「物語の背骨に肉をつける」

物語の背骨

ある程度、頭の中で物語が浮かんでいるときに有効なのが「物語」に背骨を通し、肉付けしていく方法です。

小説はいくつものエピソードが複雑に絡み合って作られるもの。それでも物語の枝葉部分を取り払ってみると、シンプルな一文が残ります。

  • 「人物」が「行動」して「結果」になる

これが物語の背骨なのです。物語のテーマを読者に伝えるための一番重要な部分だといえるでしょう。この一文を決めたうえで、その背骨に必要な「肉」を付け足していきます。

登場人物の目的や、主人公が遭遇する事件、葛藤、対立、成長などの変化は「肉」となる部分です。これを背骨に付けていくことで、作品自体のテーマを見失なわず、物語を構築できます。

アイデアを羅列するやり方も、物語の背骨に肉付けしていく方法も、プロットを作るときに、まず試してみたい方法です。そのうえで自分に合ったやり方を見つけていくのがいいでしょう。

プロットの文字数を段階的に増やす練習をしよう

プロットの文字数を増やしている男性

プロットを書くときに迷いやすいのが文字数です。一体どのくらいの分量で書くべきなのでしょうか。

小説の技術をレベルアップさせたいなら「プロットをさまざまな文字数で書き分けること」や「段階的に文字数を増やすことで物語を育てていく方法」が有効です。

200文字~1,600文字まで、それぞれの文字数でプロットをまとめてみましょう。大幅な過不足がなければ、その文字数ピッタリでなくとも大体でOK。文字数を徐々に増やしながらプロットの練習をしていきます。

まず200文字にまとめてみよう!

物語を作るときに最初の一歩として最適なのが200文字のプロットです。「たくさん作ってみてその中からいい作品になりそうなものを次の段階に進めていく」そんな方法もあります。

少ない文字数でまとめるのは難しい作業ですが、物語にとって「どの要素が大切なのか」が見えてくるのもメリットの1つです。

短い文字数にまとめようとすると、ストーリーのスケールが小さくなってしまうことも。この部分はデメリットになりやすいので、注意しましょう。

キャラクター名などの固有名詞は省略してもOK。物語のアピールポイントを含めて、はじめから終わりまでストーリーの要素がきちんと入っているのが理想です。

物語の最後まで書ききれなかったとしても「最も重要な部分」「読者の興味をひきそうな部分」をしっかり入れて完成させましょう。

難易度高め!400文字のプロットに挑戦

ほかの文字数と比較して難易度が高いのは「400文字のプロット」です。しかし物語全体を入れるのに最適な文字数でもあります。必要な要素をしっかり盛り込むことに挑戦しましょう。

400文字にまとめるには重要なポイントを拾い上げる作業が必要です。テーマを見極め、それに関わるエピソードを正確に選び、つなげる力がつきます。また作品のバランスがとれているかどうかの指標にもなります。

400字にまとめるのが難しいと感じる方は、既存の作品を400文字のあらすじにしてみるのもオススメです。物語のバランスを理解するための練習になります。

より細かい設定を書き込める800文字のプロット

800文字のプロットでは、キャラクターの名前などの固有名詞もしっかり入れつつ話を広げていきたいところです。サブキャラクターを登場させて膨らみをもたせることもできます。

他人が読んだときに疑問を抱かせないよう、設定や情報を詳しく入れるのも大切になってきます。主人公の成長や物語を貫く陰謀などの大切な部分についても、詳細を書き込んでいきましょう。

1600文字程度のプロットにまとまらないなら再考の余地アリ

1,600文字程度でまとめられない場合は、ストーリーが複雑化しているのかもしれません。注意して見直しましょう。無意味に話を膨らませすぎてはいないでしょうか。

1,600文字でプロットを書くことは、物語のテーマについて再考するための指針になるのです。

プロットをうまく書けない場合は箇条書きにしてみよう

どうしてもプロットが書けない場合は、文字数を気にせず箇条書きで書き出してみるのもいいでしょう。物語をシーンごとに、はじめから終わりまで羅列してみるのです。

頭の中にあることを一度すべて出すことで、解決の糸口がつかめることもあります。頭の中に浮かんだ事柄を言葉にして、その言葉から発想を広げ、まとめてみましょう。

プロットはコンパクトにまとめる意識を

あらゆる新人賞では、作品と一緒に「梗概(こうがい)」とよばれる「小説のあらすじ」の提出が求められます。どんなに魅力的な物語だったとしても、相手に伝わらなければ意味をなしません。

これはプロット作りにおいてもいえることです。小説を出版する際には、編集者にプロットを見せることになります。

自分の作品を誰かに見てもらうためには、ストーリーの構成が「簡潔に」まとめてあるほうが親切です。忙しい選考者や編集者にきちんと目を通してもらうために、あらすじもプロットも簡潔にわかりやすく整理する習慣をつけましょう。

そして一番肝心なのが「長々と説明しなくてはならない物語はおもしろくない」ことです。

プロット作りは、少ない文字数でも読者の関心をひくような作品に仕上げるための、いい訓練になります。

プロットをコンパクトにまとめる練習方法

  1. まずきちんとした設定を立て、キャラクターの魅力をアピールする
  2. さらにストーリーの盛り上がりやどんでん返しまで入れる
  3. そのうえで400字~800字程度まで簡潔にまとめる

上記を心がけて挑戦してみましょう。

プロットは、小説を構成する上での「要」

ほとんどの小説家がプロットを作り、アイデアをさらに練って、全体のバランスを取ったうえで、作品を書きはじめています。一見手間がかかることのように思えますが、実はそれが一番効率的な方法なのです。

プロットをしっかり考えて、簡潔にまとめる練習をしておけば、いざ新人賞に応募するときにも役立ちます。

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監修|榎本 秋

1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。

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