2026.09.25
突然ですが、皆さんは美容院ってお好きですか?
私は苦手です。スタイリッシュな空間も、漂う液剤の匂いも、じっと座っていなければならない時間も、他人に髪を触られることも、世間話を振られることも、何もかもが苦手です。
ですが、行くからにはオシャレな髪型にしたいので、いつも凝ったカラーやトリートメントを追加してしまい、結局2時間くらい滞在することになります。
とはいえ、これまでは特定の美容師さんに当たることが多く、「今日はどんな感じにしますか?」といった最低限の会話だけで、あとは黙々と施術してくれていました。そのため、多少は居心地の良さを感じていたのです。
ただ、美容院というのは基本的に「指名料を払わないと、誰が担当になるかわからない」システムです。これまでは指名なしでも同じ人が担当してくれていたので、完全に油断していました。先日も「今回も大丈夫だろう」と指名せずに行ったところ、私を「しゃべるのが好きではない客」と認識してくれているいつもの人ではなく、別の人が担当になってしまったのです。
しかも初めて見る、大学生くらいの若い美容師さん。もしかして入社したばかりでしょうか。
指名料をケチった私に文句を言う権利はまったくないので、おとなしく席に座っていたのですが、案の定「今日この後どこか行くんですか?」「お仕事は何をされてるんですか?」と定番の世間話が始まります。
(やめてくれ〜、予約時の要望欄に「静かに過ごしたい」って書いたじゃないか〜!)と思いつつも、無視して空気が悪くなるのもなぁ……と、当たり障りのない返事をしていました。
しかし、何度かやり取りをするうちに、私はある違和感に気づきます。
会話のキャッチボールが、まったく続かないのです。
たとえば、こんな感じ。
「お盆休みって、実家とか帰るんですか?」
「いや、帰らないですね。実家がめっちゃ近いので、長期休みとか関係なく、帰りたい時に帰るって感じなんです」
「へえ~」
って、終わりかい!
ボールを投げられ、こちらがそれなりの返球をしたにもかかわらず、軽い相槌とともにボールをコート外へ投げ捨てられて終了。会話って、もっと言葉のキャッチボールが続くものじゃなかったっけ……?
私の世間話スキルが絶望的に低いのは事実ですが、もしかしてこの美容師さんも、同じくらい会話が苦手なのでは? 本心では「話したくない」と思っているけれど、客商売の義務感から、無理して話しかけてくれているのでは?
変に気を遣うくらいなら黙ったままでいいし、むしろその方がお互いハッピーなのですが、「もしかしてしゃべるの苦手ですか?」なんて初対面の相手に聞けるわけもなく、ただただ気まずい時間が流れます。
結局、そんな不毛すぎる会話(もどき)を繰り返し、精神的に疲れ果てた2時間が経過。ようやく美容院を出ました。心なしか、私を見送る美容師さんの表情も「やっと終わった……」とばかりに清々しく見えます。
一概には言えませんが、やはり客と積極的に会話するよう指導される美容院もあるそうです(ちなみに当時の私は気付いていなかったのですが、「お仕事は何を~」という質問は外勤か内勤か、つまり髪や頭皮に紫外線を浴びやすいかどうかを知るために質問することが多いそうです)。たしかに、美容師さんとのトークを目当てに通う人もいるでしょうし、1対1の仕事である以上、トーク力も求められる側面はあるのでしょう。
でも、美容師だからといって、全員が会話好きとは限らないんですよね。
美容師に限らず、「仕事」には本来関係ないようなスキルを求められるシーンがよくあります。たとえば私が昔コンビニでバイトをしていた時のこと。空腹の大型犬が店内に乱入し、売り物のパンを食べ始めるという事件が起きました。犬嫌いの先輩がバックヤードでガタガタ震える中、私に急遽求められたのは「大型犬を優しく宥めて退店してもらうスキル」でした(ちなみに店外に出した犬を30分ほどヨシヨシしていると飼い主さんが現れたので、食べられてしまったパンの代金を全額払ってもらって解決しました)。
私が体験した犬騒動とは違い、美容師がトーク力を求められることは容易に予想できますが、それでも美容師になった人、あるいは目指している人のうち、「お客さんと楽しくトークしたい!」と思ってその門を叩いた人が、果たしてどれくらいいるのでしょうか。
何にせよ、「もうちょっと私の方から明るく話を広げた方が良かったのだろうか……」などと悶々としつつ、私は帰路につきました。
次も同じ美容院に行くかどうかは、まだ決めかねています。
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