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アイディアの出し方とインプットの方法

小説家を目指す方だけでなくプロ小説家にとっても、「アイディア」はあればあるだけよいものです。しかし創作や執筆などアウトプットばかりしているとアイディアが「枯渇」してしまうこともあるでしょう。

アイディアが枯渇する原因は「インプット」が不足しているからに他なりません。そうならないために必要なのは「好奇心」をもつことですが、どんな関係性があるのでしょうか。

今回は好奇心の重要性とアイディアとの関係性、さらにはインプット方法についてもご紹介します。

好奇心がアイディアに必要な理由

何事も興味をもたなければ、自分の記憶には残りません。初めて行く場所も、初めて体験することも、興味がなければ365日の中のちょっとした出来事にしか感じず、記憶の海に消えてなくなります。
そのようなスタンスで日常を過ごしていると、「アイディア」は必ず枯渇します。読者の興味を引く小説には良いアイディアが不可欠、それを探すのに必要なのが「好奇心」です。好奇心というのは、おもしろがったり興味を持ったりする心のこと。おもしろい! これはどうなっているんだろう? と感じる心の動きです。

大切なのは好奇心を持って日々の生活を送ること。好奇心をもつことで、普段の何気ない景色がぱっと様変わりします。たとえば、出勤・通学時にいつも通っている道にある木々も「好奇心」をもつと以下のことに気づくかもしれません。

  • 道路側に植えている木と、歩道側に植えてある木は種類が違う。
  • この木の葉脈は直線だけど、あちらの木の葉脈は網目状。
  • 5月になると、木の剪定作業が入る。

何気ない情報かもしれませんが、リアルをインプットすることで「アイディア」につながることがあります。好奇心があるだけでインプットできる情報量は桁違いです。

巨匠も大切にしていた「好奇心」

ベレー帽と漫画家グッズ_アイディアには好奇心|榎本メソッド
実は漫画の神様である手塚治虫も「好奇心」を大切にしていました。彼はあらゆるジャンルの作品を手掛けています。医療系からロボット系、さらには男装の麗人が活躍する作品まで。このような幅広いジャンルの作品は、もともと自分が興味を持っていたり好きだったりしたものだけでは書けないはずです。

作風の幅広さの理由に通じるであろう、彼の残した言葉にこのようなものがあります。

「描きたいものをかいているうちはどんなに仕事がキビシクてもやりとおすことができる!」
「しかし描きたくないものをムリして描くとイヤ気がさして作品に熱中できない!」
「だからまんが家はいつも描きたい素材をたくさん貯金していなければならないんだよ!」
【出典:まんが道・藤子不二雄A著・中公文庫】

この言葉から考えるに手塚治虫はもともと持っていた「好き」の範囲内だけで「描きたい素材」を貯めていたわけではないでしょう。
この言葉は、作りたいものを作るためには好きなこと(描きたいこと)を増やす。そうでないとプロとしてはやっていけない、という意味にもとれます。意識し、努力して「好き」の範囲を広げ、「書きたい素材」を増やせる「好奇心」の持ち主だったのでしょう。
だからこそ、多種多様なジャンルでヒット作が生まれたと言えます。

「好きなものを貯める、増やす」というのは、口でいうほど簡単なことではありません。誰にでもどうしても好きになれないものがあり、好みの幅はある程度決まっているものです。若い頃であれば「好きなもの」の幅はある程度広げられますが、年齢を重ねれば重ねるほど広げづらくなり、固定化されやすくなります

これは感性が鈍ることでもあり、趣味に費やす時間が減って「自分の好き」以外に使える時間がなくなる、ということでもあります。好きを増やすにはある程度の時間が必要なのです。

漫画の神様が「好き」の範囲を広げる努力をしたのに、凡人である私たちが努力をしないのは怠慢といわれても仕方がありません。強い好奇心をもち、興味を広げ、よりよい発想を得るために努力しましょう。

好奇心が芽生えたらインプットするアイディアを見つけに行こう

指を指して電波を放つ男性_アイディアには好奇心|榎本メソッド
ワクワク、ドキドキする気持ちが抑えきれなくなったら、さっそくアイディアを見つけに行きましょう。

そういわれてもどこに行けばいいのか、何をすればいいのか迷ってしまう方も多いかもしれません。

ここでは、アイディアが見つかる「インプットの方法」をいくつか紹介します。

しかしこれらを試したからといって感じるものがあるかどうかは自分次第です。
大切なのは視野を広げ、価値観を柔軟にすること。何も感じなくても「なるほど、こういう世界があるんだな」「自分がここまでいた場所だけがすべてではないんだな」と最低限、視野が広がるきっかけにはなります。

広がった視野、柔軟になった価値観がいつかどこかであなたに新しいアイディアを与えてくれるかもしれません。

ただし好奇心ばかり優先するのはNG

日常にときめきが溢れてくると、今度は好奇心主動で行動してしまうことも。何事にも興味をもつことは大切ですが、時と場所を考えましょう。思わぬトラブルに巻き込まれることもあるからです。

  • 車の交通量が多い場所では左右の安全確認を行う
  • 夜遅い時間に行動する場合は反射材などをつける
  • 住宅地など人が密集しているところでは、好奇心を満たすことが起きても声を潜める

一般的なマナーを持って「好奇心」を大切にしましょう。
注意点を確認したらインプットの方法について見ていきましょう。

オススメ1:自分の記憶を振り返って

1番手軽にできる、空き時間を使ったインプット方法は「自分の記憶を振り返る」ことです。

  • 自分の経験
  • 噂で聞いた話
  • マスメディアで知った話
  • 映画や小説などの物語で触れた話

フィクションもノンフィクションも入り混じった頭の中の情報は、あなた自身も気がついていない「アイディアの宝庫」です。たとえうろ覚え程度だとしても、好奇心の視点から見れば、パッときらめく物語のアイディアになるかもしれません。一度自分の頭の中を整理して、おもしろい話や経験を書き溜めておきましょう

オススメ2:行動範囲を広げる

運動不足解消がてら、外出するのもアイディアが見つかるきっかけになります。

  • 散歩に出る
  • 普段とは違う道、違うルートで学校や会社に行く
  • 家や最寄駅の近くにあるものの入ったことがない施設に入ってみる

自分のペースで周囲を見渡せるのでゆっくりじっくり観察ができるため、移動手段は「徒歩」がオススメです。

もう少し行動範囲を広げられるのなら「旅行」をしてみましょう。いつもとは違う場所に身を置き、違う風景、違う雰囲気に触れられるのが、旅行の醍醐味。そこでしかできない体験を、思う存分楽しむこともまたアイディアが見つかるきっかけになります。

新しいことをしてみる

何歳になっても「新しいことをする」という経験は大切です。一見畑違いの分野でもやってみると肌に合うかもしれません。

  • 普段触れていないジャンルのエンタメに接してみる
  • 今までやったことのない趣味に挑戦してみる
  • あまり見ないジャンルのTV番組を観てみる
  • はじめての趣味にチャレンジする

1人ではなかなか新しいことにチャレンジする気力が出ないこともあるでしょう。そんなときは家族や友人、同じ志を持っている仲間に声をかけて一緒にチャレンジするのもオススメです。

人間観察を忘れずに

日常生活を送る上で思っていたよりも多くの人に出会います。その中にあなたの「好奇心」をくすぐる人物がいるかもしれません。

  • 有名人
  • 知人
  • 学生なら同級生、先輩、後輩、先生
  • 社会人なら上司、後輩、営業先
  • 接客業ならお客さん
  • 店員さんや病院の先生など
  • 配達物を届けてくれる人
  • アパート、マンションの管理人さん

「好奇心」をもって人間観察をすると普段何気なく接している人でも、一言二言会話をしただけの他人からアイディアの種が見つかるかも。しかし一人ひとりをジロジロ見よう、と言っているわけではないのです。見過ぎると、相手に不信感を与え、失礼な行為になります。

アイディアが見つからないなら「好奇心」があるか確認を

「アイディアが出なくて執筆の手が止まる……」
「何を書こうか悩んで一ヶ月が過ぎた」

そんな状況に陥ってくよくよしているのなら、好奇心不足を疑いましょう。以前は情熱を持って書いていたジャンルも、好奇心の持続がなければ熱は冷めるもの。インプットがなければ好奇心の持続は難しいのです。

そんなときは一度、宇宙やこの世界の始まりについて考えてみるのもいいかもしれません。この世に生み出されたものは、すべてになんらかの意味があるのかもしれません。でもそれをすべて知っている必要性も正解もないのです。しかしその答えのないことを考える行為で「好奇心」が復活するかも。

好奇心をできる限り持続して、さまざまなものからアイディアをインプットしましょう。好奇心さえあれば、普段の生活から情報を収集できるようになり、毎日がアイディアの宝庫になるのです。

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監修|榎本 秋

1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。

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