小説家を目指していて、「どんな勉強をすればいいのか」「大学や専門学校を出ておくべきなのか」と考えている方は多いでしょう。
小説家は、〇〇大学の文学部を出ていればなれる! という類の職業ではありません。しかし専門の勉強をすることで客観的な視点が身に付き、ステップアップできるのは間違いありません。
ここでは、小説を学べる大学、専門学校からカルチャースクール、通信・オンライン講座など、それぞれの特徴やメリット・デメリットを出版業界で活躍するプロの監修でご紹介します。ぜひ学校選びの参考にしてください。
※社会人で小説家を目指す方はぜひ以下の記事も参考にしてください
小説家になるには社会人だと遅い? 必要な能力や強化方法
目次
期間 | かかる費用 | 取れる資格 | |
大学(公立/文系) | 4年間 | 240万円~ | 学士 |
大学(私立/文系) | 4年間 | 390万円~ | 学士 |
専門学校(認可) | 2年間~ | 200万円~ | 専門士 |
専門学校(無認可) | 2年間~ | 200万円~ | なし |
カルチャースクール | 3回~ | 8,000円~ | なし |
文学学校 | 1年間~ | 年間10万円~ | なし |
通信講座 | 添削/講評なし・1回~ | 5,000円~ | なし |
添削/講評あり・数回~ | 3万円~ | なし | |
オンライン講座 | 添削/講評なし・1回~ | 5,000円~ | なし |
添削/講評あり・1回~ | 1万円~ | なし | |
独学 | 定めなし | 0円~ | なし |
オンライン発表サイト | 定めなし | 0円~ | なし |
オンライン交流サイト | 定めなし | 0円~ | なし |
サークル(同人) | 定めなし | 0円~ | なし |
※費用はおおよその目安です
小説を学ぶ場はたくさんありますが、一番費用が掛かるのは大学(私立)です。期間も多くの場合4年制となるため、その分金額も上がります。また、専門学校も200万〜と高額です。
小説家になるのに、「どの学校を出ていなければならない」ということはありません。特に専門の学校で習わず、独学でデビューする人もいます。
しかし面白い小説を書くのに、人の心の動きや他者との関係性の面でさまざまな経験をすることが役立ちます。専門学校や大学に通うことで得られる経験の数々が、小説の肥やしになることは多いものです。
また大学や専門学校は、卒業時に学士や専門士の資格が取得できるため、就職に有利です。仕事をしながら小説家を目指す方や、兼業小説家という働き方をする方も大勢います。
そのため、もし高校生で小説家を目指しているなら、大学や専門学校を出ておいて損はありません。
専門学校や大学に通いながら、カルチャースクールや通信講座・オンライン講座の授業を受ける方も多く、授業で物足りない部分を補うのに最適です。
時間の拘束 | 社会人でもできる? | |
大学 | 大きい | 難しい |
専門学校(認可) | 大きい | 難しい |
専門学校(無認可) | 大きい | 難しい |
カルチャースクール | 少ない | 問題なし |
文学学校 | 少ない | 問題なし |
通信講座 | ほとんどない | 問題なし |
オンライン講座 | ほとんどない | 問題なし |
独学 | ほとんどない | 問題なし |
オンライン発表サイト | ほとんどない | 問題なし |
オンライン交流サイト | ほとんどない | 問題なし |
サークル(同人) | ほとんどない | 問題なし |
社会人が仕事をしながら小説を学ぶ場合、専門学校や大学は時間的に難しいかもしれません。専門学校や大学は、出席日数が足りないと進級・卒業ができないからです。
そのため、仕事をしながら学べるカルチャースクールや、通信講座、オンライン講座に限られてきます。数年会社に勤めてお金を貯め、退職してから専門学校などに入学するパターンの方もいます。
大学で小説の勉強をしたい場合は、文学部、文学科、日本文化学科、国語国文学科、などの学部・学科がある学校で学べます。小説の専門的な知識だけでなく、一般教養も勉強できるので視野が広がり、それが創作に役立つことも多いでしょう。
小説家を目指して大学に入るメリットはさまざまですが、一番は大学卒業の資格が取れることです。大学を出ていれば小説家になれる、というものではありませんが、働きながら小説家を目指したり、兼業小説家として作品を出版したりと、選択肢が広がります。詳しく解説します。
卒業時には大学卒業の資格(学士)が取得できるため、就職には最も有利です。小説家の仕事に近い「出版社」や「編集プロダクション」への就職を視野に入れるなら、大学を卒業しておいた方が有利になるケースが多いでしょう。編集関係の仕事をしながら小説家を目指す方も少なくありません。
一般教養から専門的な分野までを幅広く学べるのが大学の特徴です。小説以外の勉強やサークル活動などもあるため、その経験を創作に活かせるのも大きな利点のひとつです。
大学に入ると、多くの場合4年という長い期間を過ごすことになります。そのため、自分のやりたいことや進みたい方向性をじっくりと考える時間があります。
多くのメリットがある一方で、小説家という夢を持ちながら大学へ通うことにはいくつかのデメリットも存在します。それは、時間とお金が多くかかることや、商業流通で通用するエンタメ小説のトレンドについて、詳しい講師がいない場合が多いこと、などです。詳しく見ていきましょう。
4年という期間はメリットでもありますが、時間的な拘束と費用が多く掛かるという点では、状況によってデメリットと捉える方もいるかもしれません。
「エンタメ小説を目指しているのに、エンタメ系小説に強い先生が専任でない」というケースはよくあります。講師として紹介されていても、実際には「年に数回しか授業を行わないゲスト」であることも。
学校の規模にもよりますが、専門学校と比較すると生徒それぞれをしっかりフォローしてくれない場合が多い傾向にあります。
ゼミで創作物を見てはくれますが、付きっきりで指導してくれるところは多くありません。積極的に自分から学ぶ姿勢がないと実力がついていかない点には注意しましょう。
自分が書くジャンルを決めている場合は、そのジャンルに詳しい講師がいるかどうかをチェック。目指している方向(エンタメ、純文学など)に強い講師が専任で教えてくれるのかを確認しましょう。
「小説以外にも幅広いスキルが習得できる大学は?」という視点で選択するのもオススメです。実際に出版の世界で活躍している人の多くが兼業小説家。別の仕事に就くことで得られる専門知識が小説の役に立つことも大いにあるため、就職を視野に入れて大学を選ぶのは賢明です。
専門学校は大学と比較すると、職業に必要な知識をより実践的に学べる場所です。私立は都道府県知事、公立は教育委員会、国立は文部科学大臣が認可しています。
小説家になるには、商業的な観点から自分の作品を見つめる視点が重要です。文章の基本や表現方法を磨くと同時に、売れる小説が書けるかどうかを学ぶことでプロの世界に近づけるのです。そういった意味では、専門学校は突出している場合が多く、職業としての小説家のノウハウを学ぶのに向いています。特長をくわしくみていきましょう。
一般的な大学と比較して、実践的な授業を行う学校が多い傾向にあります。
卒業時に専門士の資格が取れることで、就職に有利。また在学中は「学割の対象になる」「奨学金が利用できる」などの経済的な利点もあります。
個別に就職支援を行うなど、小説家デビュー以外の進路にも手厚いバックアップをしている専門学校もあります。出版社や編集プロダクションへの就職を希望するならば大学卒業の方が有利ですが、ゲーム業界や広告会社とつながりのある専門学校は多くあります。
現役の小説家・編集者がカリキュラム監修や学科プロデュースに関わっているケースもあり、現役で活躍する業界人を講師に迎えるなど、実践的な授業を受けられるところが魅力です。
それだけでなく学生のメンタルケアなどにも配慮し、創作をサポートできるようなバランスのいい体制を作っている学校もあります。
学校の枠組みを超えて、柔軟な指導を売りにしている場合が多い傾向にあります。
「ラジオの枠を買って、学生が制作した番組(ラジオドラマなど)を放送する」「出版社とコラボして書籍化のオーディションを行う」などの活動を行っているところもあります(産学連携スポンサー)。
メディア関係の業界とのつながりが強い学校もあるため、野心がありチャンスをつかみ取りたいタイプの人には向いているかもしれません。
専門学校では実践的に職業としての「小説」を学ぶのに適していますが、一方でデメリットもあります。学費もそれなりにかかりますし、拘束される時間も長いです。また選ぶ学校によっては講師の質がまちまちであることにも気をつけましょう。
2〜3年の期間が掛かることや、数百万円の学費を負担に思われる方はいるかもしれません。
出版業界で活躍するプロ小説家であっても、教え方が上手いかどうかは別の話です。また、現役のシビアな感覚を持ち込んだ講師の指導ばかりでは学生がついていけない可能性も。
現役の先生がレギュラー講師にいない場合、現実の出版業界の常識やトレンドと、授業内容が乖離している場合があります。
専門学校には、「認可校」と「無認可校」があります。無認可校は専門学校と同様に実務的な内容、実践的な授業で即戦力を育成する学校です。学校教育法により、都道府県知事から「学校としての認可を受けていない」ものを指します。
受験資格で学歴や年齢を問わない場合が多いので、認可校より入学のハードルは低くなります。
無認可校は、お金の面で負担がかかりやすいというデメリットがあります。
認可校と違い、以下のような負担があります。
また卒業したことによる資格がないのも知っておくべき部分です。専門学校と同様に多くの時間と費用が必要となるにもかかわらず、卒業したことによって取れる資格がありません。
そのため「自分のやりたいことと校風がとても合致している」など特別に強い思いがないようなら、認可校を選択しておくのがいいかもしれません。
認可校に負けず劣らずどころか、それ以上の教育内容を誇る学校もあれば、最低限の基準がないため、満足のいかない運営をしている学校もあります。無認可校間での比較検討もしっかり行うようにしてください。
普段の授業で、どんな先生がどんな授業をするのかを具体的に確認しましょう。「特別講師」などは数年に一回講演に来るだけで、実質指導をしていない場合もあるので要注意です。
自分の書きたいジャンルに強い講師がいるのか、現役の業界人講師とそうでない講師のバランスはどうかなどを事前に調べましょう。
認可校も無認可校も、上述した産学連携スポンサーなどチャンスをつかめる部分は魅力的ですが、それが数年に一回あるかないかのようなものでなく、多くの受講生にチャンスが有るかどうかを確認することが大切です。
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・講座一覧
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カルチャースクールは社会人や学生に教育の機会を提供する民間の教養講座です。運営元によってスクールの規模は異なります。大手企業が全国的に展開しているものもあれば、地域密着型のものや個人が開講しているものまでさまざま。入学の難易度は低く、誰でも学べるところがほとんどです。
専門学校と比較すると、小説家という職業を体系的にビジネスの範囲まで学べる点で叶いませんが、小説のカルチャースクールにも魅力的な面は多くあります。
体験受講ができる場合も多く、小説を学ぶ教室のなかでは費用が比較的安く抑えられる傾向があります。
講座によって変わりますが講座の時間も短く、土日や夜に開催されていることも多くあります。そのため時間のない社会人が気軽に小説を学ぶのに適しています。
一口にスクールといっても、本格的に小説家を目指す人たちが集まるものから、趣味の集いまでスクールの目的はさまざまです。自分に合った雰囲気かどうかを調べてから申し込みをしないと、時間の無駄となることもあります。よく調べておきましょう。他にも以下のようなデメリットがあります。
個別に長編を丁寧に見てもらえるところは少ない印象があります。学校で小説を勉強する一番の利点は自分の書いた原稿を客観的に評価してもらえることですが、安価なコースでは、そもそも講評を行っていない場合も多いため要注意です。
また長く開講している教室では、受講者の中に独特の関係性があることも。古株の生徒が仕切っていて、内輪の序列ができているようなケースがたまに見られます。創作に無関係な部分で余計なストレスがかかり、モチベーションが下がってしまうのは不毛なこと。体験・見学などでよく雰囲気を観察しておきましょう。
趣味レベル、短編のみのスクール、などいろいろな種類のスクールがあります。「自分のレベルに見合った講座があるか」「スクール内のルールはどんな風か」などに注目。できれば、体験参加をして見極めましょう。
文学に特化したカルチャースクールです。比較的気軽に参加できるところから、歴史が長く文学賞受賞者を多数輩出しているような学校もあります。入学の難易度は低く、若者から熟年層まで誰でも学べるところがほとんどです。
大学や専門学校と比較すると、「長い時間をかけて体系的に学ぶ」という経験があるわけではありませんが、文学学校ではより深い部分で小説が学べることもあります。メリットを詳しくみていきましょう。
夜間や通信など様々なスタイルがあります。
創作の世界には明確な「正解」がありません。そのため教室によって教え方もさまざま、趣味レベルの教室も多いのですが、なかには長年の実績をもった文学学校では方法論が固まっていて、的確な指導をしてくれる教室もあります。
作家協会がやっている場合は編集、作家など、講師のバックボーンがしっかりしているため、的確な指導を受けられる可能性は高いでしょう。
文学についてより深い知識を得るために有効な場合の多い文学学校ですが、やはり「文学」に特化しているだけあって、その他のジャンルには弱いというケースもあります。特に新しいジャンルには弱い場合も多いようです。
最近では文学だけでなくエンタメ小説のコースも増えてきています。しかし多くは、長く実績を築いてきた歴史ある教室です。エンタメといってもミステリー小説などを指すことがほとんど。「キャラクターもの」や「ライトノベル」が書きたくても、講師がそのジャンルに詳しいかどうかは未知数なため、目指すジャンルによっては対応できないケースもあるので事前確認が必要です。
在籍している講師の出している本が、自分の目指すジャンルであるかどうかを調べましょう。インターネットなどで情報公開している場合も多いですが、可能な場合は体験参加をして詳しく質問したり、教室の雰囲気を知ったりして自分に合っているか判断しましょう。
一般的には、テキスト教材を使って自分のペースで勉強し、添削課題のやりとりをしながら学習する講座です。講座を始める難易度は低く、誰でも学べます。
場所や時間に縛られないことが魅力の通信講座。特に時間の捻出が難しい社会人にはオススメの勉強方法です。他にもいくつかの利点がありますのでみていきましょう。
コースや期間にもよりますが、安価で始められる講座が多くあります。
時間的な拘束も少ないため、家事の合間や会社の休み時間など、空いた時間を利用して学べるのが大きなメリットです。
通学の必要がないため、地方に住んでいても都内の出版業界で活躍する講師の授業を受けられるのは通信教育ならではの利点です。
継続できるかどうかが意思の強さにかかってくる部分はデメリットと呼べるでしょう。
自宅で勉強することになるため、目的や目標がはっきりしていて、1人でも頑張れる人でないと難しいかもしれません。
講師やクラスメイトとコミュニケーションをとる機会がなく、人によってはモチベーションを維持するのが難しいと感じることも。修了までの期間が長い講座は、特に継続して取り組めるかどうかが本人の意思の強さに依存してきます。
最終的に基本コースでどこまで学べるのかをチェックしましょう。「追加費用がかさみ、結局想定より高くなった」とならないよう注意が必要です。
長編やプロットを丁寧に見てくれるかも大切なポイント。プロに学ぶ一番の利点は作品を講評してもらえることです。添削・講評のある講座を選び、どこまで詳しく見てくれそうなのかを把握しておくといいでしょう。
もっとも重要なのは、指導する先生が自分の書きたいジャンルに詳しいかどうかです。プロであっても専門外のジャンルでは、「トレンドがわからない」「お約束を知らない」などで、的確な評価ができないことがあります。自分の進みたい方向性や課題がわかっているなら、それを強化できそうな講師がいるか(授業があるか)を確認してください。
インターネット上で受講できるので、自宅にいてもパソコンやスマートフォンを使って授業が受けられます。通信講座よりさらに柔軟に小説を学べる場です。
ライブ配信やWeb面談の機会を設けている講座もあり、リアルタイムで質問をしたり作品を講評してくれたりするところもあります。参加の難易度は低く、誰でも学べます。
オンライン講座は通信講座のように好きな時に好きな場所で勉強できるうえ、ライブ配信やWeb面談などを用意しているところもあります。自分のペースで、モチベーションを保ちながら続けられるのが魅力です。他にもWebを使った学習ならではのメリットが多くあります。
紙の資料でのやり取りなどがほとんど必要なく、データの受け渡しで完了するため、通学講座や通信講座より授業料を安く抑えられる場合が多い印象です。
DVDや印刷テキストがないので、郵送のやり取りもほとんどありません。
Web上の情報を充実させている講座が多いため、指導実績や講座の内容などの情報を集めやすい特徴があります。
通信講座のデメリットは実際にその場で指導を受けられないところです。しかしオンライン講座では、インターネットを利用した対面講座を行うところも多く見られます。質問をしやすい環境があることで、より理解が深まり学習効率も上がるでしょう。
時間や場所を選ばず学べるオンライン講座は忙しい社会人にピッタリの学習法ですが、Web上で完結する故のデメリットもあります。
通信環境の不具合によって、授業が滞ってしまうこともあります。スムーズに学習を進めるにはWi-Fi環境を整える必要があり、それが負担になることも。
基本的にオフラインでの課外学習などはできないため、生徒同士が交流する機会もありません。仲間との活発な交流を求めている人には不向きと言えるでしょう。
どれだけの予算と時間が掛かるのかをしっかり調べておきましょう、1回分は安くても、終了までに何回の受講が必要なのかを把握できていないと、思ったよりお金がかかってしまうなど、トラブルのもととなります。
また他の講座と同様に、どんな講師がどんな方法で講評してくれるのかを調べましょう。自分が書きたい作風と合う講師がいるのかを調べることも忘れずに。
せっかくのオンライン講座なのですから、講師に質問や相談をできるコースが用意されているかどうかも調べておきましょう。一対一でコミュニケーションが取れると、より理解が深まるはずです。
本やWeb上の情報などで勉強します。その上で新人賞への応募を続けている方はたくさんいます。
人に気を使うわずらわしさもなく、自分のペースで好きなように勉強できるので、小説家を目指す多くの方が独学で学習をしています。メリットをみていきましょう。
仕事や学業で忙しくても、頑張る気持ちさえあれば好きな時に勉強できます。
特にまとまった費用が掛かるわけではないので、気軽に始められ、やめる時も気兼ねがありません。
小説家を目指す方のほとんどが独学で小説の勉強をしています。しかし残念ながら独学で上達し、小説家デビューをする人はほんの一握りといえます。その理由は客観的な判断ができないためです。
プロットや長編の指導が入らないので、客観的に実力を伸ばす機会が得られません。新人賞の一次選考に落ちたときに冷静になって見返す能力が無いと、自分で実力を伸ばしていくのは難しいものがあります。
自分が書いた作品を客観的に見るのは難しいことです。よほどの天才でないかぎり、誰かに原稿を見てもらう機会は必要です。
書籍で学ぶ場合は、色々な本を読みあさるよりも、2〜3冊に絞って体系的に学ばないと混乱する結果になってしまいます。
Web上にもさまざまな情報があふれていますが、すべて真に受けず出所を確認し、納得できる情報に絞って参考にしていくのがよいでしょう。
また2~3回新人賞に応募して通らないなら、プロに見てもらうことも考えてください。何か重要な部分が足りていないのに気づかず続けていると、いつまで経っても堂々巡りから抜け出せません。(新人賞の一次選考に8回落ちた人が、プロの講座を受けたら1回で通過したこともあるほどです)
小説家を目指すために勉強をする場は他にもたくさんあります。以下はその一例です。それぞれのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
有名なところでは「小説家になろう」など、誰でも自作の小説を公開できるサイトに投稿する方法です。自分の作品の読者から意見や感想をもらえる場合があります。小説を学ぶというよりは、執筆の習慣化や、読者の反応を知るために利用している人が多いのではないでしょうか。参加の難易度は低く、誰でも投稿できます。
自分の小説を誰かが読んで、感想をもらえることでモチベーションに繋がることも多い小説サイトには、次のようなメリットがあります。
読者の反応をみられる
自分の作品を気軽に読んでもらい、読者の反応を得られることでモチベーションにつながることも多いでしょう。
人気が出れば書籍化の話がくる場合も
サイトで注目され、人気が出れば出版のオファーにつながる場合もあります。
気軽に投稿し、気軽にコメントをもらえることはモチベーションを保つのに有効ですが、それによるデメリットもあります。
<b>読まれない場合もある
参加人数が多いサイトでは読んでくれる人が現れるか、感想をもらえるかどうかわからない部分もあります。誰からも反応がないと創作のモチベーションが下がることも。
読者の意見=「正」ではない
たとえ読者にリアクションをもらえても、その意見がどこまで正しいか、客観的にはわからないことに注意が必要です。良くない意見を真に受け、執筆がイヤになるようでは元も子もありません。
商業出版とは方法論が違う
無料のサイトで人気が出る作品と、出版して多くの人に買ってもらえる作品では、作り方、見せ方の方法論が違います。サイトで人気が出たとしても、それが紙の本を作るための参考になるとは限りません。
気をつけたいのは新人賞に応募するときです。狙っている新人賞の募集要項を良く調べないと、一度Web上で発表した作品は応募資格が無くなるケースもあります。インターネット上への公開は慎重に行うよう注意してください。
独学で小説を勉強していて、誰かに作品を読んでもらいたいときや、人に楽しんでもらえるような作品なのか試してみたいとき、発表することでモチベーションを維持したい場合は投稿サイトが有効です。自分の作風が受け入れられそうなサイトなのか、どんな作品に人気が集まっているのかを見て、自分に合っている場所を選びましょう。
通常の小説投稿サイトと違い、創作する人同士が交流するサイトに作品を投稿するサイトです。小説コミュニティ、オンラインサロンなどとも呼ばれます。多くの場合、参加の難易度は低く誰でも入れます。
小説家志望者どうしで交流を深められるオンライン交流サイトは、他にも以下のようなメリットがあります。
横のつながりができる
作者間の交流が活発なところに参加すると、よい情報収集の場となります。プロ(小説家 評論家)を目指す仲間ができ、横のつながりが広がることも多く、うまくいくと生涯の創作友達と出会える場合もあります。
小説家志望者もプロ小説家も、孤独な作業が多いのは同じです。同じ目標を持つ友がいることは、プロになってからも心の支えになることでしょう。
作者同士の意見交換ができる
小説の世界を目指すもの同士、作品を読み合い意見交換する機会も多く、議論することでモチベーションが上がるタイプの方ならよい学びの場となるでしょう。
小説家志望者が集まるからこそ気をつけたい部分もあります。
派閥などがある場合も
古くからあるサイトでは、派閥ができていたり、上下関係があることも少なくありません。
引っ込み思案だと何も生まれないかも
自分からコミュニケーションをとる姿勢でいないと、何も得られず時間を無駄にしてしまうことも多いため、向き不向きがあります。
あくまでプロの意見ではないことに注意
創作しているとはいえ、プロの意見ではないので意見を聞いても鵜呑みにせず、取捨選択をする客観性が必要になります。
オンライン交流サイトのポイント
交流が活発なところを選ばないと無駄に作品を公開してしまうことになるのは、投稿サイトと同様です。リアルタイムで動きのあるサイトなのか、誹謗中傷などで荒れていることはないかなど、事前によく様子を見てから公開しましょう。
また参加者のレベル感を観察することも大切です。趣味レベルの集まりである場合も多いため、本気で小説家を目指す人々が集まる場なのかどうかを見ておきましょう。内輪のノリが出来上がっているなど、新規で入るには居心地が悪いコミュニティーもあります。
交流サイトで小説を学ぶというより、他の学習と並行してモチベーションの維持などを目的に参加するのがオススメです。
創作活動をする人達が集まり、作品を公開したり意見を交換したりする場所です。創作仲間で文芸同人誌を発行し、文学フリマなどで販売することも。ほとんどの場合、難易度は低く誰でも参加できますが、作風やレベルなどに規定を設けているサークルもあります。
創作仲間ができる
仲間内で同人誌を発行するなど、参加者の関わりは交流サイトなどより深いものとなります。仲間がプロになったら刺激になるうえ、特別な情報を得られることも。
同人誌を発行できる場合も
「同人誌」は一般的な雑誌と違い出版社などを通さないため、自由に好きなものを書けます。想像力の赴くまま好きなように書いてみると、創作の楽しさを満喫できるはず。自分の書きたい方向性がはっきりするうえ、出来上がった冊子を手にするのは嬉しいものです。創作のモチベーション維持において、大いに役立つことでしょう。
出版のプロの意見ではない
創作者同士の活発な意見交換を期待できますが、やはりプロの意見ではないことに注意しましょう。
またプロ小説家が参加しているサークルもあり、プロの意見をもらえることもあります。しかし、小説家にとってもっとも参考になるのは発注側である「プロの編集者」の意見です。「書き手の意見がすべて正しいわけではない」点は注意したい部分です。
レベル感にばらつきがある
他の交流サイトと同様に、サークルの方向性はさまざまです。全体的なレベル感をみてから入らないと上達には繋がりません。
趣味でやっている人も多いので、小説家を目指すなら、本気のサークルをみつけなければいけないところに注意しましょう。
仲間内で合評会(コメントや質問、批評をもらう場)を開催しているところから、講師の先生を招いているところまで、活動内容の充実度はさまざまです。自分が実力を伸ばせる場なのかをしっかり見極める必要があります。
大学、専門学校、カルチャースクール、通信・オンライン講座などプロから小説を学べる場や、Web上での発表・交流まで、小説を学ぶ場はさまざまなものがあります。
すべてを通じて「自分の書こうとしているジャンルに強い講師がいるか」「自分が学びたいと思っていることを教えてくれる場所なのか」を確認するのが大切です。雰囲気に流されず、しっかり見定めていきましょう。
この記事は小説家デビューを目指す方を対象に作られた小説の書き方公開講座です。
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榎本メソッド小説講座 -Online- のご案内
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監修|榎本 秋
1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。
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