榎本メソッド小説講座

小説家デビューを目指す方へ|小説の書き方公開講座 小説家デビューを目指す方へ|小説の書き方公開講座

発想力・構成力・創作力が上がる1日30分のワークとは? |テクニック向上方法

小説の発想力、ストーリー構成力は思いつきだけでカバーできるものではありません。日々練習を繰り返し、鍛えていかなければならないものです。
今回は、創作力・発想力のテクニックが向上する「ワーク」のやり方をご紹介します。

小説の発想力・構成力・創作力がアップするワークとは?

小説上達30分ワーク
小説を書くためには発想力、構成力が欠かせません。そこで思いついたアイディアはきちんと整理する習慣をつけたいものです。しかしノートにただ書き込んでいただけでは、創作に生かせるものも生かせません。

そこで役に立つのが、必要なポイントを表に書き込んで体系的にまとめる「ワーク」です。ポイントを順序立てて整理することで、発想が形になります。

創作力を育てるための練習として有効ですが、それだけでなく実際に物語を作るときにも役立ちます。このワークを1日30分行いましょう。

【関連記事】
小説家になるにはどんなデビューの方法がある?

ワークを使って小説のテクニックを向上させるコツ

表を使ったワークは毎日やるのが1番のコツです。回数をこなすことで創作力のレベルアップを実感できます。

小説上達 30分ワーク表
※表は「起承転結のワーク」より

ワークのやり方

後ほど説明する「起承転結のワーク」を例にワークのやり方をみていきましょう。

  1. まず思いついたことをどんどん「メモ」の部分に書いていきます(入りきらない場合は別途紙を用意してください)
  2. アイディアをシートの適切な部分に書き込みましょう
  3. パソコンであらすじの形にします
  4. 最後にポイントを押さえられているか、方向性は適切かをチェックします

ワーク実践のコツ

表のワークを行うときのコツ・ポイントをみていきましょう。

メモ部分に書き込んでいく

思いついたものの、まだ形になっていないことや、そのままでは物語に使えそうもないアイディアはメモ部分に書き込んでいきましょう。

文字になったものをみているうちに、次々と生まれてくる別の発想も含めて記入してください。整っていなくてもいいのでどんどん書いていきましょう。

物語の重要な部分の省略はなるべく避ける

アイディアを表に書き込み、数多いあらすじを作っていると、本来重要な部分をつい省略してしまうことがあります。

  • 主人公とヒロイン(ライバル)はなぜ、どのようにして出会うのか
  • 主人公はなぜ困難な目的を達成できるのか
  • 主人公はどうして周りの人々に助けてもらえるのか

ひょんなことから……などとごまかすのがクセになると、小説を書くときに苦労をしたり手が止まったりする原因に。物語の大枠(おおまかな部分)ばかりに注目し、具体的なエピソードを考える力が得られないのは致命的。上のポイントは物語の重要な部分です。しっかりと考えて決めたうえで、表に書き込みましょう。

情報を整理しPCで清書・あらすじの形に

表がすべて埋まったら、赤ペンで情報を整理します。余計な情報は横線で消し、矢印で必要な情報を追加。きちんと見直し、練り上げてこそ創作力アップの練習になるのです。

情報が整ったら、PCを使って清書していきます。活字で読み返すと、情報が多すぎたり少なすぎたりといった項目ごとの偏りに気づきやすいものです。どの要素に追加が必要か、余分なものはないかを再度精査し、あらすじを作成していきましょう。

これで表を使ったワークは一旦「完成」です。

ポイントを押さえられているか確認する

最後にポイントを押さえて書けているか、方向性が適切かどうかを確認します。

下記で解説する「起承転結ワークのポイント」を参考に見比べ、確認してみましょう。

小説のテクニックを向上させる「起承転結」ワーク

小説上達 30分ワーク表

起承転結とは物語を4つのブロックに分けて考える手法です。表をみるとわかるように、4つの中で最も大切なのは「転」です。

すべてをキレイに4等分してしまうと、前半の「起」「承」の盛り上がりが少なくなるため、エンタメ小説では致命的。起承転結のワーク表を使って、「どんでん返し」の効果を小説に取り入れる練習をしていきましょう。発想力と構成力の向上につながります!

※起承転結について詳しくはこちらの記事をご覧ください
起承転結と序破急のポイントと応用|知っておきたいストーリー構成の作り方

「起承転結」ワークのポイント

このワークのポイントをみていきましょう。

起 : 物語の開始

どんな物語で、誰が登場し、どんな場所が舞台で、今どうなっているのかを書き込みます。(ポイント:出会い、組織への加入、目覚めなど)

承 : 物語の展開

起で語りきれなかった事情を明らかにし、キャラクターや物語の魅力を深ぼりしていきます。(ポイント:深まる、増える、激化、広がる)

転 : 物語の転換

起と承で書いた状況、方向性がガラリと変わる事件を起こします。ここで結末へ向かう準備に入りましょう。(ポイント:真実の露呈、裏切りの発覚、状況の逆転)

結 : 物語の決着

真実が明らかになる、決戦が行われる、目的が達成されるなど、転で一変した状況が決着を迎えます。(ポイント:目的の達成、決戦、旅の終わり、次へ)

<記入例>

主人公には片思いの女子がいる。しかし遠くから見つめるばかりで声をかけることすらかなわない。

そんななか学校では怪奇事件が頻発する。

彼女あてのラブレターを机の上に忘れてきたことを思い出し、深夜の学校に忍び込んだ主人公。教室で彼女と遭遇する。彼女は霊媒師だったことが発覚。主人公は彼女と怨霊の戦いに巻き込まれる。彼女に言われるがままに結界や祈祷の準備を手伝い、凶悪な怨霊を迎え撃つ。苦戦しながらも勝利する。

学校に平和が訪れる。主人公は彼女のパートナーとして、各所で頻発する怪奇事件に挑む決意をした。

ワークの種類はさまざま! 自分に合ったものを探そう

起承転結のワーク以外に物語のテーマについて各ブロックでわけて考えるワークもあります。ぜひ挑戦してみてください。

ヒーローズジャーニーのワーク

  • 平凡な日常(物語が始まる前の状況)
  • 非日常への誘い(日常がかわるきっかけ)
  • 非日常への拒絶(変化、冒険へのためらい)
  • 師との出会い(葛藤を克服させる導き手と出会う)
  • 事件の発端(物語が動き出す、始まりを告げるのは誰?)
  • 試練、仲間、宿敵との出会い(新世界での冒険)
  • 危険な場所に近づく(クライマックスの直前)
  • 最大のチャレンジ(立ちはだかるのは何者?)
  • 報酬(試練によって手に入れたもの)
  • 帰路(無事に帰れる?)
  • 復活(自信の復活、平和の復活……)
  • 帰還(帰宅できる? また旅立つ?)

※もっと詳しく知りたい方はこちらの書籍をご参照ください
『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトの考え方』

自分では書かないような物語やシチュエーションにも挑戦しよう

せっかくのワークなので、いつもなら書かないような物語の設定や、あまり興味のないパターンにも果敢に挑んでいきましょう。この練習で発想が柔軟になります。後々使えるアイディアを蓄積するという意味でも、幅広いシチュエーションでワークを行いましょう。

ワークが完成したら誰かと「共有」してみる?

ワークを使ってあらすじが完成しただけでは納得がいかず、誰かに感想をききたい! という方がいるかもしれません。

この場合、注意してほしいことがあります。小説のあらすじや設定の良し悪しはプロ経験のある人でないと判断が難しいもの。適切な分析やアドバイスを求めているなら、友人や家族よりも、その道のプロを選ぶと間違いがありません。

※現役のプロがあなたの作品を講評します!
榎本メソッド小説講座 -Online-

グループで行うのもオススメ

創作の仲間がいるなら、複数人でワークを行うのもいいでしょう。同じテーマに対して他の人はどんな発想をするのか知ることで、視野が広がります。アドバイスしあうのではなく、「こんな発想があるのか」「他の人はこう考えるんだ」という視点で発想の参考にするのがグループワークのコツです。

グループで出たアイディアを自分の作品に生かしたい場合は、きちんと相談してからにしましょう。権利問題で揉める可能性があるので、賞に応募したりWebサイト、ブログなどにアップしたりする場合は、作った人の許可が必要です。

発想のきっかけになる「カード」のワークとは?

各ワークにおいて発想のキッカケにも役立つのが「カード」のワークです。100枚のカードでできる発想力強化の方法をご紹介しましょう。

カードのワーク・やり方は?

まず、よく読む小説やアニメ、マンガなどを参考に「単語を100個」選んでカードに書き、その中から3枚のカードを引きます。

やり方はたったこれだけ。3枚のカードから次の課題をこなします。

  • タイトルを作る
  • あらすじを作る
  • 他人の作ったカードで同じ課題を繰り返す

各項目を詳しくみていきましょう。

タイトルを作ってみよう

30分でできるだけタイトルを考えます。カードを3枚引き、キーワードを組み合わせて「タイトル」だけ作る練習を、1ヶ月行いましょう。

あらすじを作ってみよう

タイトル作成に慣れたら、簡単なあらすじまで考える練習を30分の中に組み込みます。いいあらすじができたらそれをより詳細にしていきましょう。この練習も1ヶ月行います。

他人の作った単語でカードに挑戦してみる

次のステップでは、100枚のカードを他の人に作ってもらいましょう。自分では思いつかないようなキーワードが登場し、発想力のステップアップにつながります。

カードを使うワークのコツ

このワークのコツは、上記3つのステップを順に踏んでいくことにあります。最初はタイトルだけで精一杯。あらすじを作るところまで行かないかもしれません。

他人の作ったカードは、組み合わせるだけでも難しいでしょう。徐々に慣れながら工程を増やしたり、新しい刺激を増やしたりすることでどんどん発想力がついてくるのです。

時間がなくても毎日できる! 創作力UPの「簡単ワーク」

小説上達 15分ワーク
仕事や学業が忙しく、なかなか勉強の時間を作れない方は、簡単なワークでもいいので毎日続けるようにしましょう。ここでは15分の空き時間があればできるワークを紹介します。

NHKのニュースサイトを見ていくワーク

ニュースサイトを見て、知らない言葉があったらインターネットで調べましょう。何気なくみていると読み飛ばしてしまうような、馴染みのない横文字や難しい言葉に注目します。

また法律や制度についても、はじめて聞くようなキーワードが出てくるでしょう。さまざまな用語を理解すると、社会で必要な知識が集まります。

毎日「NHKのニュースサイトを見る」、そしてその都度「知らない単語、用語を調べる」ことが、このワークのポイントです。1年ほど続けていくことで、幅広い基礎知識が身につきます。

小説を書くときに、現代社会の常識やルールをよく理解していることは重要です。そうすると作品にも信憑性が生まれます。ぜひ生活習慣に組み込んでください。

通学通勤中に目に入ったものをチェックするワーク

通勤や通学などの移動中に簡単にできるワークがあります。目立つ広告や今まで気が付かなかったものなどをチェックするものです。

駅の通路、電車のなか、街中などで、目立っている広告やはじめて見るものをチェックしてみましょう。状況が許せば写真を撮っておくのもオススメです。

特にに最近は、店内のソーシャルディスタンスやマスク、店頭の消毒液など、これまでとはガラリと変わった世界が広がっています。

創作仲間や友人と、見つけたものを報告しあうのもいいでしょう。気づいた点を話し合い、メモを取っておくと創作のヒントになります。

毎日15分やってみよう! 「タイトル」のワーク

「スキマ時間15分」で毎日やっておきたいのが「旬のキーワードを組み合わせてタイトルを考える」ワークです。その時の季節や旬のものを思いつくだけ挙げて、そこからタイトルを作ります。1日15分、時間を決めて行いましょう。

できたタイトルはキーワード順にExcelなどで並べていきます。続けていると、たくさん集まったタイトルの中から印象に残るものが出てくるはず。そこからキャラクターやストーリーが浮かんでくることも多いものです。

タイトルのアイディアはどれだけあっても困りません。将来、やっておいてよかった! と思う日が来るかもしれませんね。

1日30分のワークで小説のテクニックを向上させよう!

小説を書くときに必要な「発想力・構成力」などの創作力は、ただぼんやり考えているだけでは鍛えられません。ポイントを押さえて「ワーク」をコツコツ行うことで、実力はしっかりついてきます。まずは1日30分、創作と向き合うことからはじめてみましょう!

【関連記事】
小説家になるにはどんなデビューの方法がある?

この記事は小説家デビューを目指す方を対象に作られた小説の書き方公開講座です。
幅広いテーマで書かれた数多くの記事を無料でお読みいただけます

公開講座の目次をみる


       

プロ小説家志望のあなたへ

小さな頃からずっと小説が好きで、自分でも書きたいのになかなか最後まで書けなくて……と、悩む小説家志望者のK子さん。小説家になりたいけれど自分には才能がないのではとモヤモヤした日々を過ごしているそう。そこで今回はAmazonランキング第1位を獲得した「物語を作る人のための 世界観設定ノート」の著者、鳥居彩音さんにお悩みを聞いてもらうことにしたようです。
今回はその様子を榎本メソッド公開講座の編集部がレポートしました!

こんな私でも小説家になれますか?

榎本メソッド小説講座 -Online- のご案内

お読みいただいているページは、現場で活躍する小説家・編集者・専門学校講師が講師を務める、小説家デビューを目的としたオンライン講座「榎本メソッド小説講座 -Online-」の公開講座です。小説家デビューに向けてより深く体系的に学習したい、現役プロの講評を受けてみたいといった方は、是非本編の受講をご検討ください。


監修|榎本 秋

1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。

同じカテゴリでよく読まれている公開講座