榎本メソッド小説講座

短編小説の書き方|連作短編ならデビューできる?

プロ小説家になるには長編小説が書けなければならない! そう思って書き始めたけれど、完成させられない…… という方は多いもの。だからといってそこであきらめてしまうのは早計です。

ここでは短編小説の書き方のコツと、長編が苦手な方でも短編でデビューする方法などをご紹介します。すぐに書き始められるように、創作に役立つテンプレートもご用意しました!

長編を完成させられなかった初心者の方も、ぜひ短編小説からプロ小説家への一歩を踏み出してください。

短編小説の書き方、そのコツとは?

短編小説の書き方のコツ

全体のボリュームがある長編小説は、書きたいことを書ききってから次の展開へ……というスタイルが可能です。テンポをゆっくりさせたり、テーマと結びつかない描写やシーンがあったりしても「遊び」として成立する側面もあります。

しかしそうはいかないのが短編小説です。

文字数に制限があるため、書きたいことを詰め込みすぎると、何が言いたいのかよくわからないまま終わることに。短編小説にだらだらとした描写はご法度なのです。

ここでは短編小説にテンポを持たせる、2つの「コツ」をご紹介します。

一つひとつのシーンを短くする|短編のコツ1

シーンを短くし、余計なことは書かないよう気をつけましょう。一つひとつのシーンをシンプルにまとめれば、物語がテンポよく進みます。

  • キャラクターが活躍するだけで本筋とは関係のないシーン
  • 会話だけのシーン

上記はキャラクターの魅力を描くのに有効ですが、冗長さの原因になるため注意しましょう。短編ではエピソードを多く入れ、キビキビと書いていくのが読者を飽きさせないコツです。

意識して「どんでん返し」を入れる|短編のコツ2

ストーリー構成の基本は起承転結。この「転」の部分を意識して入れていくのが短編小説にテンポを出すコツです。

最初の事件が解決するやいなや予想外の展開へとつながり、次の事件が起きる。そのくらい勢いのある構成にしましょう。

※短い小説の書き方について、もっと掘り下げて知りたい方は以下の記事もご覧ください
掌編小説の書き方

短編小説ではデビューできない?

短編小説は文字数が少なく短期間で書きあげられるため、小説を完成させる練習になります。しかし一方で、デビューを目指すのには不向きな形式でもあります。

なぜなら商業デビューできる賞には、短編部門がほとんどないからです。地方の文学賞なら短編を受け付けているものもありますが、多くの場合そこからのデビューはできません。

それでも短編でデビューしたいなら【連作短編】がおすすめです。

デビューを狙うなら【連作短編】を書こう!

連作短編とは、1つの短い話(短編小説)をキャラクターや世界設定を変えずに、一繋がりの話として何話も続けていく形式の小説です。

  • 長編になるようなボリュームのある話を作れそうにないけれど、スケールの大きな話を作りたい
  • 長編を書き上げたことがないけれど、新人賞に応募したい

上記のような場合は、連作短編にチャレンジするのがオススメです。

一方、1話が1つの物語として独立しているのが短編やショートショートです。この形式は、出版の際にいくつかの作品をまとめて一定のボリュームにする必要があります。

しかし連作短編なら3~4話もあれば長編相当のボリュームになり、新人賞に応募できるので、デビューも現実的になってきます。

自分は短編の方が向いていると思う方は、ぜひ挑戦してみてください。

連作短編・書き方のコツは「起承転結」にあり

連作短編のコツ

連作短編はいくつかの短編をつなげて1つの物語にする形式です。だからといって、ただ漫然と短編を書き連ねても面白い小説にはなりません。作品を魅力的にするには「起承転結」で構成し、メリハリをつけることが重要です。

ここでは連作短編の構成に使える2つのコツをご紹介します。

1話ごとに「起承転結」のフォーマットにする|連作短編のコツ1

短い物語のまとまりでも、全体を通して起承転結になるように構成することで、1作目ごとに前の回と違う雰囲気を出せます。

  • 1話→起(何かが起きる)
  • 2話→承(物語が展開する)
  • 3話→転(これまでの展開が一変する)
  • 4話→結(物語が決着する)

毎回同じパターンが続いては、読者はいつか飽きてしまいます。全作通して読んだときに、しっかりしたストーリー展開になるよう構成しましょう。

1話の中にも「起承転結」を意識する|連作短編のコツ2

もちろん各話でも起承転結を意識して、毎回ヤマ場・見せ場を作っていくことが大切です。全作通して読んだときだけでなく、1話だけ読んでも面白いように構成しましょう。

単発で読んでもまとめて読んでも飽きないように、手を変え品を変え読者を楽しませるよう工夫するのが連作短編のコツです。

連作短編・プロットの作り方は?

連作短編といえば「同じ登場人物による、異なるエピソード」を描いたものが代表的なパターンです。この他にもさまざまなバリエーションが存在します。

  • 特定の場所で違う登場人物によって繰り広げられる群像劇
  • 登場人物も場所も違うが同じテーマに沿った物語が繰り広げられる

いずれの方式にするにしても、全話を通して一貫したテーマがあることが大切です。この作品で伝えたいテーマを、より効果的に届けるためにどんな要素が必要かという視点で、プロットに反映していきましょう。

1.キャラクターを作る

エンタメ小説では魅力的な登場人物が作品の面白さに直結するため、さらに多くのエピソードを描く連作短編では、その重要さも増します。このキャラクターの活躍がもっと見たい! と思えるような魅力的なキャラクター設定を考えましょう。

※キャラクター設定の方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください
人物描写が上手くなるコツ

2.世界設定を作る

キャラクターと同様に、読者を引きつける世界観の設定も大切です。作品がどのような世界を舞台に繰り広げられるのか。どんな設定にすれば物語の魅力を最大限に引き出せるのか。じっくり考えて決定しましょう。

※世界設定の作り方について詳しくは以下の記事をご覧ください
世界観の設定と作り方

3.ストーリーを作る

起承転結に沿ってテンポよく進むように大きなストーリー構成を作ります。どんなエピソードを、どんな順番でみせていけば、あなたが読者に伝えたいテーマが効果的に届くでしょうか。大きなストーリーにエピソードを肉付けしていきましょう。

※ストーリーの作り方について詳しくは以下の記事をご覧ください
ストーリー構成の基本と応用

4.物語の「続き」を考える

一作目以降はこれまでの流れを変える意識で、物語の続きを考えましょう。一作目に入りきらなかったエピソードや要素を入れていくのもいい方法です。

いくつかの短編をつなげただけの話にならないよう、全体を通して「キャラクターの成長」や「大きな事件の動き・顛末」などが描けると、作品としての完成度が格段に上がります。

※プロットの作り方について、詳しくは以下の記事を参照してください
プロットとは|プロットの書き方・構成の作り方

【すぐ書ける!テンプレート】書き込んで連作短編を作ろう

連作短編のアイディアテンプレート

書きたいテーマが決まったら、テンプレートの項目を埋め、連作短編のアイディアを整理します。

各項目は以下を参考に記入してください。

最初の一作

あらすじや設定、物語の中で出したい要素をメモします。どんなキャラクターが登場し、どんな世界で起こる物語なのかを書き込みましょう。

今後の要素

一作目に入りきらなかった要素、これから出していきたい要素をメモします。

次の展開

前回とは違う流れ、違う雰囲気になるような展開を記入します。「新事実の発覚や主人公の目的が明らかになる」などの部分です。物語がどのように転がっていくのかをメモしましょう。

一段落

どのような結末になるのかを書き込みます。

  • 主人公が明確な目的や目標を持っているなら、達成させる
  • 非常に強力な敵、強大な障害を乗り越える
  • 何らかの秘密や真相を明らかにする

上記のような「一段落」を作り、1話を完結させます。連作であっても、一話の最後はしっかり終わらせるオチを考えましょう。

連作短編を書いて小説家デビューを狙おう!

「完成させる」という意味では、長編よりハードルの低い短編小説。1本書きあげれば自信につながります。

読み返して不満に思う部分を磨き上げ、詰め込みすぎた部分は次の回へ。そこから話を広げて連作短編にしていけば、新人賞への応募も可能です。

短い話の集まりも、全体を貫く一本の「芯」を作ることで、物語に一体感が生まれ、連作短編として完成度の高い作品になります。簡単な作業ではありませんが、小説の上達には欠かせない練習方法です。ぜひチャレンジしてみてください。

その連作短編! 新人賞に応募できるかも⁉

連作短編が完成。新人賞に応募してみたい! でも、通用するようなレベルなのかな、と心配なら、ぜひプロによる講評を受けてください。

榎本メソッドの長編講評コースなら自分の作品にどんな強みがあって、何が足りないのかを商業出版の世界で活躍するプロの小説家・編集者がしっかりと見極め、的確にアドバイスします。

ひとりで推敲して、何度も何度も書き直し、一体何がいいのかよくわからなくなってしまった……

そんな時間を過ごすのはもったいない! プロのアドバイスを受け、デビューへの道のりを一足飛びで駆け抜けましょう♪


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小さな頃からずっと小説が好きで、自分でも書きたいのになかなか最後まで書けなくて……と、悩む小説家志望者のK子さん。小説家になりたいけれど自分には才能がないのではとモヤモヤした日々を過ごしているそう。そこで今回はAmazonランキング第1位を獲得した「物語を作る人のための 世界観設定ノート」の著者、鳥居彩音さんにお悩みを聞いてもらうことにしたようです。
今回はその様子を榎本メソッド公開講座の編集部がレポートしました!

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監修|榎本 秋

1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。

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