榎本メソッド小説講座

小説の展開を面白くするためにプロがやっていること

小説の展開を面白くするには、「オリジナリティー = 斬新なストーリー展開」が必要だと思っている方は多いようです。

読者をあっと言わせるために「誰も見たことのない物語を作りたい」という目標は素晴らしいですが、誰にでもできることではありません。

では、商業出版の世界で活躍する全ての小説家は、常に斬新な物語を生み出せる天才ばかりなのでしょうか?

ここでは「面白いストーリー展開」をコンスタントに生み出す必要のあるプロ小説家が実践している方法をご紹介します。

自分は天才じゃないから、なかなか思い付かなくて……という方はぜひ参考にしてください。

面白い展開がなければエンタメ小説とは呼べない

ストーリー展開、キャラクター、世界設定、この3つは小説を面白くする

ストーリー展開、キャラクター、世界設定、この3つは小説を面白くする上で欠かせないものです。

面白い物語は、キャラクターがストーリーを動かし、作り込まれた世界設定がそこに説得力を与えます。小説にはこれらの相互作用がとても重要なのです。

小説を書くとき、通常は以下の段取りで進めます。

  1. テーマと「ストーリーの背骨」を決める
  2. そのテーマを活かすのに最適なエピソードは何か、自分が書きたいエピソードは何かを熟考する

上記の工程を行えば、物語の形はある程度出来上がります。

しかしそれだけでは、要素(エピソード)を積み上げただけの物語になり、作品としての面白みに欠けるものになりがちです。

これらの要素を、組み立てて面白い展開にしていくのが「ストーリー構成」の技術。面白い小説を書くためには、ストーリーを構成するエピソードをバランスよく展開するような配置を考え抜く必要があるのです。

面白い展開で読者の心をつかみ、物語の世界へ引き込んでいく技術は小説家デビューに欠かせません。

では「面白さ」とは何でしょうか?

真っ先に浮かぶのは「オリジナリティー」という方も多いかと思います。

誰も見たことのないようなストーリー、思いもよらぬ展開、まったく新しいキャラクター設定……。このような小説に出会えたら誰もが熱狂するでしょう。

しかし残念ながら、そんな小説を書けるのは一握りの天才だけ。

だからといって、プロ小説家が全員天才なのかといえば、もちろんそんなことはありません。

次項では天才でなくても面白い小説をコンスタントに書きつづけられる秘訣を、詳しくご紹介していきます。

※物語(ストーリー)の背骨について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
プロットとは|プロットの書き方、構成の作り方を学ぼう

小説の展開にはどんな型がある?

まず小説の展開にはどのような型があるのかをみていきましょう。

代表的なものは「起承転結」と「序破急」の2つです。古くから創作の世界で定番の型を使って、物語の展開を決めていきます。

起承転結(きしょうてんけつ)

これから展開していく物語のはじまりの部分が「起(き)」です。これからどんな物語がはじまるのかを提示します。

「承(しょう)」では、起の内容をくわしく掘り下げて説明していきます。

続いてきた物語が大きく展開する部分が「転(てん)」です。ここでパプ二ングが起きたり、黒幕が姿を現したり、とストーリーの流れが変わります。

「結(けつ)」は結末です。「転」の後に起こったことやその結果を書いた部分です。

思いついたエピソードを、どんな順番で並べればいいのか迷ったときは参考になります。

序破急(じょはきゅう)

起承転結が4部構成だったのに対し、序破急は「序(じょ)」「破(は)」「急(きゅう)」からなる3部構成になっています。

ゆっくりとスタートを切るのが「序」です。それまでの静かな流れから、「破」のパートでは、勢いがついて大きな展開が起こります。

そしてクライマックスに向けさらに勢いが増し、テンポも早くなっていくのが「急」。緩急をつけながら読者を飽きさせない物語の型です。

※起承転結と序破急についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください
起承転結と序破急

面白い展開に大切なのは「オリジナリティー」ではない

面白い展開に必要なのは「パターン」「型」

みなさんは「パターン」「型」という言葉にどんな印象を持っているでしょうか。小説やエンタメが好きで、触れる機会が多い方ほど、これらの言葉にマイナスのイメージがあるかもしれません。

多くの人は「誰も見たことがないような斬新なストーリー、キャラクター設定にすれば面白い」つまり「オリジナリティー = 斬新なストーリー展開」と考えているようです。

オリジナリティーのある小説を書くのはカンタン?

オリジナリティーのある小説を書くのは、そう難しい事ではありません。「普通はやらないこと」をやればいいからです。

解決しないまま終わるミステリー。主人公が成長も変化もしない冒険もの。恋愛が成就しないラブコメ。一勝もできないまま終わるスポーツもの……。

思いつくのは簡単です。

確かに独創的でオリジナリティーはありそうですが、はたしてこれらの物語は面白いのでしょうか?

よほどうまく書ければ即デビュー間違いなしですが、大方意表を突いただけの中身がない物語になる気がしませんか。

オリジナリティーにこだわりすぎるのも考えもの!

「オリジナリティー」と「作品の面白さ」を両立させるのは、大変難易度が高いものだというのは理解していただけたかと思います。

オリジナリティーにこだわるあまり、過剰にひねった物語を書いて読者を置いてけぼりにしてしまうのはNG。斬新なアイディアが思い付かないからといって、いつまでも書きはじめられない、筆が進まないのはもっとNGです。

エンタメ小説では、まず読者にとって「面白い」ことが最優先。オリジナリティーはその手段に過ぎないのです。

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小説家を目指すなら「ウリとキャッチコピー」を意識しよう

オリジナリティの正体は「アレンジの効いた王道」

まったく新しいアイディアをゼロから生み出すのは難しいことです。しかし既存のヒット作品がすべて斬新なアイディアによって作られているかといえば、そうではありません。

一握りの天才が誰も見たことのないような新しい物語を作り出しているケースは確かにありますが、これはごく一部。商業流通している作品の多くに共通してみられる傾向は、次の通りです。

物語の大筋においてよく見るパターンに沿っているけれど、細かいところでアレンジが効いているため、目新しく感じられる。

ここでベースにしている物語の大筋が「パターン」「王道」なのです。

パターンから外れ、それでいて魅力的な作品をつくるのは不可能ではないものの、とても難しいこと。

定番パターンは、多くの書き手が長年にわたり積み重ねてきたものです。たくさんの読者が面白いと感じる様式「パターン」こそ、天才でなくてもヒット作を継続的に生み出す秘訣といえるでしょう。

小説の展開は「王道パターン」が最強な理由

定番が強い

小説家が知っておくべきことの1つに「多くの読者は定番のパターンが好き」というものがあります。

  • パターンは読者が面白いと感じるツボをしっかりと押さえているから愛される
  • オリジナルを追求しすぎて、読者のツボからどんどんかけ離れていくため、結局つまらないものになる

売れている小説と初心者の小説を比較してみると、上記の傾向が見えてきます。どのジャンルにおいても、定番のパターンがあり、長く親しまれてきました。読者の意表を突く展開でなくとも、お決まりの「勧善懲悪」が安心感をあたえることも多いのです。

価値観が多様化した昨今においても、アニメやドラマのヒット作をみれば、いまだ定番の魅力が健在であることを実感できます。こうしたパターンの枠から逸れず、その中でどうやって独創的なアイディアを実現していくのかがプロ小説家の腕の見せどころです。

小説の展開を面白くする3つのコツとは

王道パターンに沿った展開は、定番ならではの魅力をもっています。定番のパターンを利用するなかで、オリジナリティをどのように出すのかが重要です。その方法を具体的にみていきましょう。

面白い展開のコツ1「A+Bの手法」

面白い展開のコツ1「A+Bの手法」

定番をアレンジする有効な方法に「A+Bの手法」というものがあります。アイディアAとアイディアBを融合させて新しいアイディアを生み出すのが基本的なやり方です。

既存の人気作品を思い浮かべてみましょう。

  • スポーツものなのに超能力バトルのような作品
  • 学園ものかと思ったらタイムスリップして戦国武将に出会う

上記のような複数のパターンを融合させた作品は、多く見つかるはずです。

この手法はサスペンスドラマでもよくみられます。現実では事件が起きたら、警察が捜査にあたります。

しかしドラマでは旅館の女将やタクシードライバー、専業主婦など捜査とはまったく関係のないキャラクターが探偵役として活躍するのです。

この変化球的な配役を、主人公の職業特有の技術につなげるようなストーリーへ展開するのもいいアイディアです。

面白い展開のコツ2「ブレスト法」

面白い展開のコツ2「ブレスト法」

「A+Bの手法」で小説のストーリーをつくるとき、便利なのが「ブレインストーミング」というアイディア出しの方法です。

ブレインストーミングのポイントは、質の良し悪しや矛盾など細かいことを気にせず、自由な発想で条件に合いそうなアイディアをひたすら出しつづけることです。

これを「A+Bの手法」に基づいて行います。「戦記もの」で行くなら「〇〇戦記」というお題を設けて「〇〇」の部分をどんどん出していきます。

どこかで見たことがあったり、どうにも物語にできそうになかったりするものが多いとは思います。しかし、100~200個単位で出していけば中にはきらりと光るアイディアがあるはずです。

※小説のアイディアに使えるブレインストーミングについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください
アイディアの発想方法はビジネスに学べ? 5つの発想法をご紹介

面白い展開のコツ3「別ジャンルから取り入れる」

自分が書こうとしているジャンルとはまったく別のジャンルからアイディアやパターンを持ってくる、という手法も有効です。

ミステリーを書こうとしているなら、少年向けライトノベルのあるあるパターンを、または週刊少年ジャンプでよくみるような展開を入れてみよう、という方法です。

エンターテインメントにおける面白さは、媒体によって左右されない普遍的なものがほとんど。

キャラクターの魅力やセリフ回しの面白さ、どんでん返しの爽快さ、これらの本質部分はどんな媒体にも通じるものがあります。他ジャンル作品が持っている本質的な面白さを活かせれば、新しくてオリジナリティーのある小説になるでしょう。

※ストーリー構成の作り方についてくわしくは以下の記事をご覧ください
ストーリー構成の基本と応用

衝撃の展開!を作る方法は?

読者を楽しませるためには、ある程度「定番」の安心感が必要なのは、おわかりいただけたと思います。

しかし息をもつかせぬアクションシーンや、ミステリー要素がウリの小説などでは、やはり「新鮮な驚き」が欠かせません。

そこで、物語の展開に一工夫する必要が出てくるのです。

物語を刺激的な展開にするための代表的な方法は以下の3つです。

  • 冒頭に見せ場を置く
  • 意外な場所にクライマックスをつくる
  • どんでん返しを入れる

序盤からエピソードをていねいに積み上げ、どんどん盛り上がり、クライマックスへ。通常の物語はこのように展開していくことが多いものです。そこへ見せ場の「位置」を工夫することで、読者の注目をひきつける手法があります。

開始するなり大きな事件が起きたり、黒幕だと思われた人物の死や探していたものが途中で手に入ったりする展開。そんな盛り上がるパートを後半でなく、序盤や物語の途中に配置することで、読者は意表を突かれ、新鮮な驚きを味わうのです。

またどんでん返しを上手く取り入れ、「物語の流れを変える展開」を作り出すのも読者にいい裏切りを与えます。

どんでん返しには、起承転結の「転」の部分を担うような、前提が180度ひっくり返るような大きなものもあれば、新しい展開を生むための小さなどんでん返しもあります。

大小のどんでん返しを巧みに使い分けて物語の展開に驚きを仕込みましょう。

※印象的な見せ場をつくるストーリー構成の方法について詳しくは以下の記事をご覧ください
ストーリー構成の基本と応用

※どんでん返しの作り方について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください
ミステリー小説の書き方

展開のパターンを学んで「デビューできる小説」に一歩近づこう!

パターンを学んで小説家デビュー

小説やエンタメが好きな方であれば、もっと新しい展開がみたい、もっと斬新なストーリーを読みたい、そういった思いがあるかもしれません。なかなか思うような作品に出会えなければ自分で書こう! と小説家を目指す方も多いものです。

しかしまったく新しいストーリーを生み出し続けるのは至難の業。多くの名作は、パターンに沿ってできているケースが多いものです。

コンスタントに作品を生み出すことが重要な「プロ小説家」を目指すなら、パターンとオリジナリティーをうまく融合させるスキルを磨いていくのが得策です。

一人ではスキルを磨くのが難しいと感じているのなら、小説講座を利用するのがオススメです。榎本メソッド小説講座 -Online-では現役のプロである、出版プロデューサー、小説家、編集者があなたの作品を講評し、小説家デビューのサポートをいたします。

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プロ小説家志望のあなたへ

小さな頃からずっと小説が好きで、自分でも書きたいのになかなか最後まで書けなくて……と、悩む小説家志望者のK子さん。小説家になりたいけれど自分には才能がないのではとモヤモヤした日々を過ごしているそう。そこで今回はAmazonランキング第1位を獲得した「物語を作る人のための 世界観設定ノート」の著者、鳥居彩音さんにお悩みを聞いてもらうことにしたようです。
今回はその様子を榎本メソッド公開講座の編集部がレポートしました!

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監修|榎本 秋

1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。

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