榎本メソッド小説講座

魅力的なキャラクターの作り方は「仕草・雰囲気・セリフ」から|コツとテクニック

エンタメ小説において魅力的なキャラクターを登場させることは不可欠です。個性的で愛されるキャラクターを作るためには、その人物像を上手に描写して、読者に提示しなければなりません。

今回は魅力的なキャラクター作りのために覚えておきたい「仕草・雰囲気・セリフ」の描写について、コツとテクニックをご紹介します。

魅力的なキャラクターの作り方

小説 キャラクター
物語は、主に登場人物の具体的な動作を表す描写で構成されますが、ささやかな「仕草」や「雰囲気」「セリフ」も重要な部分です。キャラクターの仕草や雰囲気、セリフの描写は、登場人物の内面に起こる機微を表現する方法として適しています

また、無意識に行う「癖」や深層心理を表す「仕草」などを描写することで、登場人物の人となりや感情の動きがわかりやすくなります。生き生きとした人間味を持たせて、魅力的なキャラクターを作っていきましょう。

心情や個性を「仕草」で表現するテクニック

セリフのないシーンでも、キャラクターの心情や個性を表現できるのが「仕草の描写」です

  • 立ち上がる、手を振る(動作)
  • 髪に手をやる、腕を組む(仕草)

人がなんらかの意図をもって行う「動作」と違い、「仕草」は何気なくする、ささやかな所作のことを指します。視線を泳がせたり目を伏せたり、瞬きをするような目元の動きなども仕草です。

  • 椅子に座っている
  • 椅子に座って、貧乏ゆすりをしている
  • 脚を投げ出して、椅子に座っている

ただ「椅子に座っている」という描写だけでは、その登場人物がどのような人柄なのかまではわかりません。しかしその人が「貧乏ゆすり」をしていれば、怒っている、イライラしている、などのイメージに。「脚を投げ出して」座っていれば、奔放・大胆な人なのかなという印象を受けます。

このように細かい仕草の描写を入れると、さりげなくキャラクターの心情や個性を示せるのです。また、仕草の描写で、心情表現の幅も広がります。

  • 「照れる」→鼻の下をこする、頭の後ろをかく、両手で顔を隠すなど
  • 「驚く」→目を見開く、ぽかんと口を開ける、など

「照れる」や「驚く」という言葉を使わなくても、仕草だけで登場人物の心情が表せ、読者もイメージしやすくなります。人の内面を表現するのに苦手意識のある方は、仕草の描写を練習しましょう。

キャラクターの癖を描こう(コツ1)

登場人物のその時の心情、内面を「仕草」で表せるなら、その人物が元々持っているキャラクター性はどのように表現したらいいのでしょうか。

人間は誰しも「癖」を持っています。「癖」は自分でも気づかないうちについついやっているものです。

  • 爪を噛む、髪を触る、舌打ちする

癖によって登場人物の性格を表現するためには、さまざまなシーンで何度か同じ仕草を描写するのがポイントです。

たとえば「舌打ち」をする描写が1回だけなら、怒っているのだな、うまくいかなかったのかな、と想像します。しかし他のシーンにも出すことで、「普段から気の短い人」というキャラクター性が印象付けられるのです。

その場の感情によって出てくる「仕草」と無意識でやってしまう「」では、読者にあたえる印象が変化するのです。

作中で描写する場合は、「癖から受ける印象と性格が一致しているか」を意識してどんな癖にするかを設定しましょう。

仕草に表れる深層心理とは? (コツ2)

仕草には、隠れた本性や本音が表れることもあります。ふとした仕草で、その人の深層心理がわかるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

  • 体の前で腕を組む
    強い警戒心を抱いている。拒否や拒絶、自己防衛を示す
  • 小指を立てる
    周囲から注目されるのが好き。女性らしさを強調している
  • 顎をさする
    プライドが高く、相手を下に見ている。ナルシストや自信家に多い
  • 唇を舐める
    ストレスや不安、緊張を感じている

このほかにも仕草には、さまざまな深層心理が隠されているようです。

調べてみるとおもしろいものですし、登場人物にある仕草をさせて、伏線的な意味を持たせるのも一手です。でも描写の度に1つひとつ調べていたのでは時間が足りなくなります。「ここぞ!」という場面を決めて使うのがいいでしょう。

キャラクターの人物像を「雰囲気」で表現するテクニック

キャラクターがもっている雰囲気を描写することは、その人物像を表現するのに大きな効果を発揮します。雰囲気とはその人が身にまとっているイメージのことです。

  • 透けるような白い肌の、奥ゆかしい雰囲気の女性だった
  • 透けるような白い肌の、艶やかな雰囲気の女性だった
  • 透けるような白い肌の、凛とした雰囲気の女性だった

外見や内面以外にも、「雰囲気」を描写することによってキャラクターのイメージを伝える方法があります。どれも「透けるような白い肌の女性」であることに変わりはないのですが、雰囲気を付け足すだけで違う人物を想像したのではないでしょうか。

そのキャラクターがはじめて登場するシーンでも、雰囲気の描写があることで、読者はその人物を想像しやすくなります。

セリフで境遇や性格、感情の動きを演出するテクニック

小説 キャラクター

キャラクターの人物像は誰かと会話をすることで表出しやすくなります。

1人でなんらかの行動をさせるよりも、会話の相手がいることで、「心の動き」を言葉で表現できるようになるのです。

生まれ持った性格、境遇、考え方などが違う複数のキャラクターを想像してみましょう。その人物それぞれが「酔っ払いにからまれた」場合、どのような言葉を返すでしょうか。

相手に返す言葉の内容や口調、そこからにじみ出る感情もキャラクターによってさまざまです。キャラクターによって対処方法が異なるようなシチュエーションを用意することで、人間性の違いがわかりやすくなります。

キャラクターの性格を書き分けたいときは同じシチュエーションならどのようなセリフが出るかを考え、会話の生まれる状況を取り入れましょう。

口調でも変わるキャラの印象(コツ1)

感情が動き、会話が生まれることで、キャラクターの人間性を表現しやすくなりますが、その人物の「言葉づかい・口調」によっても印象は変わるものです。

  1. お前に付き合ってほしい場所があんだよ。危険な目には合わせねぇ。
  2. あなたに付き合ってほしい場所があるんです。危険はありません。
  3. 君に付き合ってほしい場所があるんだ。危険なところではないよ。

どれも「一緒に来てほしい場所がある」というセリフです。話している内容は同じですが、頭に浮かぶキャラクターはそれぞれ違うものではないでしょうか。

1は「お前」という二人称、ないことを「ねぇ」という部分から、荒っぽさを感じさせます。

2は目上の人を相手にするときのような、丁寧さを感じる口調です。3つのなかではもっともやわらかい印象があります。

3は丁寧でやわらかい口調ではあるものの、どこか威圧的な印象を受けます。これは「君」という二人称によるもの。「君」は自分と同等かそれ以下の立場にある相手に対して使う呼び方だからです。

キャラクターのセリフは、その口調によっても読者に与える印象が変わります。登場人物の個性を出すための大切な要素なので、キャラクターの性格に合っているかどうかを意識して決めましょう。

一人称でも印象が変わる(コツ2)

キャラクターに個性を持たせるためには、一人称の使い方に変化をつけることも重要です。自分のことを「僕」と呼ぶのと「俺」という呼び方をするのでは、それだけで受ける印象が違います。

  • 「俺」は男性的な一人称
  • 「私」は女性的、丁寧な一人称
  • 「僕」は男性的でもやわらかい印象の一人称

上記が一般的な一人称とそのイメージです。一人称には、さらにさまざまなバリエーションがあります。たとえば同じ「僕」でも、カタカナで「ボク」、ひらがなで「ぼく」ではそれぞれに印象が違ってくるのです。

  • 「僕」は幅広い年齢で使える一人称
  • 「ボク」はせいぜい10代まで、あるいは女の子が使うケースもある
  • 「ぼく」は年齢一桁の子どもに使わせるのが自然

このようにキャラクターの性質の違いは一人称で表現できます。とはいえ、必ずそうしなければならないというわけではありません。

たとえば20代のキャラクターに「ボク」を使わせることで、内面の幼さを演出できます。またボーイッシュな女の子に「オレ」を使わせて、その個性を印象付けるパターンも定番。ヒロインの前では「俺」でも、職場では「私」を使い分けていると、キャラクターの「社会性」を演出するのに効果的です。

キャラクターの使う一人称が違うだけでも、その人物への想像は膨らみます。どんなキャラクターがどの一人称を使いそうなのか、じっくり考えてみましょう。

特徴的な口調でキャラクターを立てる(コツ3)

一人称だけでなく、口調を特徴的にすることでキャラクターを印象付ける方法もあります。

  • 男性的な言葉「~だぜ」
  • 女性的な言葉を使う「~わよ」
  • 敬語を使う
  • 方言を使う

なにも、「~だにゃ」「ざます」のような特殊な語尾を使う必要はありません。上記のように自然な方法でキャラクターの口調に特徴を持たせるのもいいでしょう。意識して口調に変化をつけると、どんな人物なのか想像しやすくなります。会話文でも誰のセリフかがわかりやすいのでオススメです。

キャラが魅力的なら物語のおもしろさもワンランクUP!

キャラクターの外見や具体的な行動によって、その魅力を表現するのも大切ですが、さりげない内面の描写やセリフで個性や感情を表現するのも効果的なテクニックです。感情の動きをうまく表現できると、読者にとって感情移入しやすい、魅力的なキャラクターが生まれます。「仕草・雰囲気・セリフ」のコツを意識して、キャラクターに魂を吹き込みましょう!

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監修|榎本 秋

1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。

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