ライトノベルの主要な読者は中学生や高校生。中学生が読んで理解できる、わかりやすい文章や物語を書くのが、エンタメ小説家にとって大切です。
逆にいうと、中学生の知識があれば小説は書けるということ。小説が好きな中学生はぜひ、書くことにもチャレンジしてくださいね。もちろんライトノベルだけでなく、自分が好きだと思うジャンルに挑戦してみましょう!
今回は、小説を書いてみたい中学生、高校生に向けて、物語を作るときに必要な要素をまとめたテンプレートをご紹介します。
中学生や高校生だけでなく、書きたいことはたくさんあるのにうまくまとめられない! とお悩みの初心者の方にも、役立つヒントがあるはずです。
テンプレートに沿って、まずは1本小説を書きあげてみましょう。
目次
小説を書きたいけれど、どこから手をつけていいのか分からない。書きたいことがありすぎてうまくまとめられない、というのはよくある話です。
ここでは中学生や高校生や初心者のみなさんが、なるべく簡単に、困らず、迷わず物語を書けるようになる手順をご紹介します。
以下の順番ですすめていきましょう。
それぞれのテンプレートには、アイディアを形にするために必要な要素のテンプレートを用意しました。
テンプレートとは「定型文」という意味の言葉です。小説用テンプレートに、あなたが考えた物語の要素を書き込めば、創作の手助けになります。
定型文のように何も考えずに物語が作れるわけではありませんが「発想を整理するための補助」として大いに役立ってくれるでしょう。
小説を書く力は、環境や経験に大きく左右されます。はじめからスラスラと書ける人もいれば、何から書いていいのかわからず途方にくれる人もいるもの。
スラスラ書けないから、自分には才能が無いんだ! なんて思わなくても大丈夫です。多くの場合は経験が足りないだけ。はじめの一歩さえ踏み出せれば、スムーズに書けるようになります。
迷える初心者さんは、テンプレートを活用して、たくさんの小説を書くことからはじめてみしょう。
テンプレートはすべての人に有用とは限りません。初心者のなかには、テンプレートを使うことが、むしろ創作の邪魔となってしまう場合もあるのです。
まず上記のフローチャートに沿って、テンプレートが必要かどうかを判断してみましょう!
テンプレートを使う前のステップです。まず以下から順番にはじめましょう。
思い付いたアイディアを箇条書きにして、それをもとに物語を作れる人には、テンプレートは必要ありません!
無理に枠にはめようとすれば、もっと広がるはずの物語が小さくまとまってしまうこともあります。どんどん本編を書いていきましょう。
紙いっぱいに書いたアイデアをどれだけ見つめても、物語の形にまとまりそうもない……そもそも何を書けばいいのかよくわからない……
そんな場合はテンプレートがとっても役立ちます! テンプレート1からチェックしてくださいね。
最初のステップでつまずいた人は、5つのテンプレートを活用し、アイディアを物語の形にしていきましょう。
まずはテンプレート1から挑戦!
アイデアはどんどん出てくる。でも話をどんな風にまとめればいいかわからない……そんな人は下のテンプレート埋めることからはじめてみましょう。
【どんな話?】のテンプレート
3つの「?」に答えて、テンプレートに書き込みます。そうすると最後に「この物語は『人物』が『行動』をして『結果』になるお話だ」と、おおまかな物語の原型ができるようになっています。
この短い文章が、「物語の背骨」です。
完成している物語の要素を削るだけ削っていったら、最終的に残るような、シンプルなあらすじのことです。
背骨がしっかり作れたのは、「この物語はどんな物語か?」がわかっているから。背骨がはっきり見えたら、そこに肉付けをして本編を作っていきましょう。
このテンプレートでうまくいかない場合は、テンプレート2へ進みます。
※小説のアイディアをまとめる方法について詳しくはこちらの記事もご覧ください
小説のネタ・アイディアは「身近なところ」から集めよう|情報収集
色々とアイディアは書けたけれど、「物語全体を貫く背骨」が見えてこない。それなら、次のテンプレートを使ってみましょう。
それ以前にまったくアイディアが出てこない! 書けない! という人も、ここを確認しましょう。
テンプレート2のテンプレートは次の質問で構成されます。
【誰に向けた話?】のテンプレート
このテンプレートでは、物語の外側、「どういう作品を作るのか?」という視点から考えてみることを目的としています。
上の質問に答えることで作品の「コンセプト(基本的な考え方)」が決まります。
上記のように、コンセプトが決まれば、最初のステップであなたが書いた大量のアイデアの中から「使えるもの」が見つかるはずです。
「このアイディアは、今回のコンセプトには合わないから、とりあえずストックしておこう」
「これは、最近読んだ漫画に影響されているなあ……自分の小説で上手く活かせる自信が無いなあ」
というように、必要無さそうなアイディアを削っていくことで、自然と今回の小説に使えるもの、使いたいアイデアが残ります。
そこから、自分の作品のコンセプトに相応しい「物語の背骨」を考えていきましょう。
このテンプレートでうまくいかない場合はテンプレート3へ進みます。
テンプレート2のテンプレートを埋められない人、そもそも最初の段階でアイデアをたくさん書き込めない、という人は次のテンプレートを使ってみましょう。
【全体要素】のテンプレート
ストーリーを軸にした、一番シンプルなテンプレートです。物語の盛り上がりや、コンセプトとか、複雑なことはとりあえず脇において考えます。
質問に答えると、物語を構成するために「最低限必要な要素」がはっきりわかるでしょう。
このテンプレートでうまくいかない場合はテンプレート4へ進みます。
ここまでは、色々な要素からストーリー中心で物語を作っていくためのテンプレートでした。それでも、どうしても話が思いつかない、という人もいるかもしれませんね。
そんな場合は、テンプレートの方向性を変えて、キャラクターから物語を考えてみではどうでしょうか。
「こんなキャラクターを登場させたい」という視点から物語を作っていくのは、エンタメ小説を書くのにとても向いている方法です。
漫画や小説、アニメ、ゲーム、ドラマなど、エンターテインメントの世界で「キャラクター」はとても重要視されます。
「キャラクターの魅力を引き出す」ために「ストーリー」がある、といってもいいほど、大切なものなのです。
そのため「このキャラクターを活躍させるための物語は何か」という視点から考えて物語を作ってみましょう。
主人公となるキャラクターは、大きく分けると2つのタイプがあります。
上記2つのキャラクターには、それぞれ別のテンプレートが必要です。
成長型(変化型)主人公のストーリーは、主人公が物語の中で成長していく様子を描きます。
実力がなかったり、仲間が少なかったり、自分の弱さを認められなかったり……何かにつけて未熟なキャラクターが、色々な出来事を経験して成長していく過程が見どころになります。
物語の「はじまり」と「おわり」にはっきりした変化がある。これがもっとも重要な部分です。
はじまったときにはなかったもの、「勇気」「自信」「仲間」「愛情」などを、おわりの時点では手に入れている、という展開が理想的です。
ただし、単純に主人公のキャラクターの目的が達成されるだけの物語では、魅力が足りません。そのため「別の目的」がぶつかり合うような構成が必要になります。テンプレート4の質問に答えていきましょう。
【成長型(変化型)主人公】のテンプレート
「2」のヒントは、直接戦うことになるライバル、陰謀を巡らす黒幕、集団・組織など。あるいは人(敵役のキャラクター)でなくても、社会の空気や制度などが「障害」「敵」として現れることもあるでしょう。
「3」の例としては、「主人公と幼なじみの、ほのかな恋が芽生えはじめたところで、恋のライバルが嫌がらせを仕掛けてくる」などです。
最後に簡単なあらすじができたら、それにエピソードで肉付けを加えていきましょう。
もっと強くてカッコいい主人公の活躍が書きたいんだよ! という人は次のテンプレートを使ってみましょう。
テンプレート4で紹介した「成長型(変化型)主人公」に対して、「プロフェッショナル主人公」という、タイプがあります。
すでに成熟した精神や技術を持っていて、物語の中で大きく成長や変化をしないタイプの主人公です。
殺し屋、探偵、スパイ、ハンターなどのキャラクターといえばわかりやすいでしょうか。
このタイプの主人公は、すでにプロフェッショナルとして活躍しているキャラクターなので、「成長」という要素は薄くなります。
そのため、「依頼人」や「助けられるキャラクター(ヒロイン)」を登場させ、そちらに成長や変化、目的を設定するケースが定番です。
【プロフェッショナル主人公】のテンプレート
「1」には依頼を受けたり、人助けする動機を入れておくと良いでしょう。お金のため? 仕事だから? 大事な人を守りたい? なぜ助けるのか、理由をはっきりさせましょう。
「2」は、どうして主人公の力を借りたいのか、という事情です。手に入れたいものがある、命の危険が迫っている、などの理由を考えます。
「3」は、テンプレート4と同様に書き込んでみてください。
※魅力的なキャラクターの書き方について詳しくはこちらの記事をご覧ください
キャラクター設定と作り方【主人公編】
書きたいことはたくさんあるはずなのに、いざ机に向かうと何から書いたらいいのか分からない……。初心者のうちはそんなことも多いはずです。だからといってせっかくのアイディアを作品にしないなんてもったいない!
ぜひテンプレートを活用して、アイディアを物語にしてみましょう。
小説はたくさん書くことが一番の上達法です。最初から最後までしっかり書いて、どんどん新しい物語を生み出して、経験を増やしていきましょう。
そしてせっかく小説を書くのであれば、基本的な知識を学んでみるのもオススメです。
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監修|榎本 秋
1977年東京生。2000年より、IT・歴史系ライターの仕事を始め、専門学校講師・書店でのWEBサイト企画や販売促進に関わったあと、ライトノベル再発見ブームにライター、著者として関わる。2007年に榎本事務所の設立に関与し、以降はプロデューサー、スーパーバイザーとして関わる。専門学校などでの講義経験を元に制作した小説創作指南本は日本一の刊行数を誇っており、自身も本名名義で時代小説を執筆している。
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